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カテゴリ:カクテル,ワイン,エトセトラ
昨日、地元デパート7階催事場のイタリアンフェアーで、興味深いことがあった。
晴美ちゃん悦ちゃんだの、イベリ子だの、パス太だのをさんざん試食したあと、いよいよもっとも興味あるワインの試飲におもむいた。3種類ほど試飲した。フレッシュだけどアミノ酸的な甘さを感じるのと、はじめ濃厚だけど後味薄いのと、味わいはおとなしいんだけどなんだか不思議味のもの。 なんだ、この不思議味は?? あっ、これはシェリーとかマディらとかに似てる。酸化した香ばしさだっ!と思った。 「いかがですかあ、どれがお好みですかあ」 と草食系男子販売員に尋ねられる。草食系販売員のそばにはブレザーの胸になんかよくわかんないワッペンみたいなの付けてる肉食系マネージャー的なおっさんもいた。 正確に評価するとすれば・・・5ccとか10ccとかじゃわかんねーよ。 なのであるが、あえて現在の好みと言えば、 「このフレッシュだけどコクのあるやつが好きかなあ」 と答える。ほんとは不思議香のある奴に惹かれていたのだが、これをどう評価していいのか自分でもよくわからずに順位から除外したのだ。ちなみにフレッシュなアミノ酸味は、その中で一番安いワインだったようだ。 不思議香は一番高いワインだった。といっても、1000円、1500円、2000円くらいのどんぐりの背比べなのだが。 「これはいかがでしたか?」 と肉食系マネージャーに聞かれてしまった。一瞬、とまどってしまったが、ここはストレートに答えてみよう。 「ちょっと酸化したような味わいを感じます」 と、言ってしまったあとで、しまったっ!と気付いた。ワインが酸化していると言うのは、劣化していると批判しているようなものだからだ。しかし、僕は品質に問題があるとか不味いとか思っているわけではなく、単に酸化風味があると率直な感想を述べただけなのである。それも、個人的な好みとしては、好意的でさえあった。 肉マネは、 「3種類ともぶどうの種類が違いますし、酸味が強く感じられるのでしょうかねえ」 などと言うので、 「いえいえ、酸味というのではなくて、マディラのような味がほんのりするっていうかあ・・・」 と答えたのだが、なんだか気まずい雰囲気が漂い始めている。 酸化してるんじゃないかって言われたら、えっ?!と急いで試飲するくらいじゃないと売り手としてはダメなんじゃねーのとも思ったけど、このままだとクレーマーかと誤解される危険もあるので、あわてて、 「ところで、広告に載ってたワインはどれですか?」 と話題を変えた。広告ワインは数量限定のため試飲できないそうなのだが、広告に載ってるくらいだからそれが一番のおすすめなのだろうと思って、それを買った。Primitivo 2008 1850円である。がっつり葡萄酒でかなり旨いぞ。結局いい買い物をしたな。 絶対音感というのがあるように、有名なソムリエだのウィスキーのブレンダーだの味覚や嗅覚に鋭いひとは、絶対味感や絶対臭感を持っているに違いない。 僕も何年も絵を描いているおかげで、自分の中の黄色や青の基準っていうのを持っている。 香りや味には全く自信がないので、あのマディラ香が本当なのかもよくわからない。その前に試食したハムやチーズの味が口に残っているせいかもしれないし。マディラ香を普通のワインに気づいたのは初めてだし。 ワインのマディラ香ってほんとにあるのかな、と思って、さっきそのキーワードでネット検索してみたところ、現実にあるらしい。高温や空気曝露に伴う酸化に起因するもので、嫌う人もいれば好む人もいるらしい。 やはりあれは酸化だったのかなあ、でもデパートでそんなワインを試飲させたりするだろうか、気のせいだったのかなあ、もう一回同じワインを飲んで確かめてみたい。ブルーベリージャムのようなプリミティーヴォを飲みながら、右側頭葉にあいまいに記録されたあのマディラ香ワインの記憶を分析している今夜なのである。ちなみに、写真はそれらのどのワインとも違います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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