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April 6, 2005
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カテゴリ:アメリカ私考
4月5日 火曜日



先週金曜日の夜、第8回East Lansing Film Festivalの一環で上映された、ドキュメンタリー『Rush to War』とショートフィルム『On Alert』
を見てきた。

会場はキャンパス内の、いつもの週末はキャンパスシネマになる教室のひとつ。キャンパスで観る映画としては高い、学生$5という料金設定のためか、会場に観客は多かったが、学生よりも大学の教員やスタッフ、その他大人の観客の方が目立っていた。

『Rush to War』は、9・11の3週間後から、DirectorのRobert Taicherとカメラクルーが西海岸から東海岸をカメラをかついで移動しながらひろった一般アメリカ人の声に加え、政府役人、外交エキスパート、ジャーナリスト、連邦議会議員、元在外大使、ノンフィクション作家、外国人映画監督、反戦アクティビスト、学生のインタビュー、そしてNorm Chomsky、Howard Zinn、元国連武器捜査官チーフのScott Ritter等々の講演会からの引用などで構成されていた。

なぜアメリカは戦争をしているのか。なぜ、他国をめちゃくちゃにし、こんなに世界中から憎まれ孤立し、また自国の若い兵士達を毎日失いながら、戦争をしているのか。いろんな分野のエキスパートや知識人が持っている破片をつなぎ合わせて描き出した結論は、「この戦争おかしいじゃないか」

映画が終わってから、映画祭に招待されていたこの映画の監督、Robert Taicherによる質疑応答があった。いくつか興味深いやりとりもあった。

イランで育ったという女性観客が、フィルムの中で非常にクレバーな中東の人々のコメントが紹介されていたことについて、
「こういう、まともなコメントを言う人々を取り上げてくれてありがとう。9・11以降のマス・メディアの中東の人々、中東出身の人々の紹介の仕方はバイアスがあってひどいものだった。中東の人々、中東出身者だって、みんながみんな好戦的なわけではないし、ちゃんと考えてもいるのに、そういう面はちっとも出てこない。」
とコメントしていた。

9・11以降の中東系の人々に対する有形無形の社会的プレッシャーは凄まじい。第二次世界大戦時の在米日本人社会への扱いがしばしば引き合いに出されるほどである。メディアの取り挙げ方もかなりバイアスがかかっている。

同じ女性が、
「アメリカの人々は、もっと地理を勉強すべきだ。アフガニスタンとイラクは同じ国ではない。間にはイランがはさまっている。そんな常識的な事を、知らない人が多すぎるのではないか。」
ともコメントしていた。いや、ごもっとも。この日記でもしばしば書いてきたけれど、アメリカ人の地理及びその周辺知識に関する知識はかなり怪しい。このコメントで彼女がほのめかしているのは、フセインとビン・ラディン/アルカイダの関連をとりざたしてイラク戦争を始める理由の一つにしたブッシュ政権への批判だと思うが、そのブッシュ政権の言い様に、まんまとひっかかるアメリカ一般大衆の、世界に関する知識の乏しさを彼女は嘆いているのだろう。

ある男性観客は
「この映画を誰に観てほしいのか」
と監督に質問した。
「本当に観てほしい人は、たぶんこの部屋に来ている人々ではないと思うが」
とつけたしながら。聞いていた私まで思わず苦笑してしまった。これは私が最近勝手に「Super Size Me の法則」と名づけている現象のこと。映画『Super Size Me』は、強烈な啓蒙メッセージを含む秀作ドキュメンタリーだと思うが、本当にこれを見て啓蒙されなければいけない人々はこの映画を見ないのである。(2004年9月23日の日記より)
監督は「いや、誰でもみんなに観てほしいと思っている」なんて当り障りなく答えていたけど。

若い、学生とおぼしきアメリカ人の兄ちゃんが、ベラベラと自己満足チックなコメントをしていた。まぁ、何か言わなくちゃ、言いたい、という気持ちはわかるのでそれはいいんだけど、
「僕が言いたいのは、今日ここへ来ている人たちが、物事の深層をよく見て考えてほしいってことなんだ」
とノタマッたのには、思わず苦笑してしまった。

あのねぇー、考えなきゃいけないのは、キミ達なんだよ。この日一緒に部屋に座って映画を観た、明らかに他国出身の人々(私たちのような見るからにアジア人を含む)をはじめ、世界中の人々は、アメリカの行動を見て、いろんなこととっくに考えてるの。監督は、アメリカ人自身が気づいてないこと、考えてないことを憂いてこのドキュメンタリーを撮ったんじゃない・・・と言ってやりたかったヨ。監督も苦笑して「たとえばさっきコメントしたイラン育ちの彼女などは、その必要はないじゃないか」と返していたが。

現状に対して批判的な視点を持ってるだけマシだけど、アメリカの多くの人々だけが、他国の人々の認識・理解レベルから大きく取り残されていることに気づいてないあたりが“アメリカ的だ”なんて思った。自分だけが事態に気づき愁いている、といった思考回路も青いけどサ。

実際、私にとって、このドキュメンタリーが伝える視点も事実もメッセージにも、特に目新しいことはなかった。すでに多くの人が考え、言ってきたことである。

例えば、インタビューや識者のコメントの中で、アメリカの短絡的でアグレッシブな中東の石油政策にもしばしば言及していたが、そんなことは今さら・・・というレベルの話である。1993年にD.C.のThe Brookings Instituteが出版した『Do Institutions Matter?』の中で、George Washington Univ. とMITとBrookingsの学者が、アメリカ、カナダ、フランス、西ドイツ(研究当時)、日本、各国の、石油を含むエネルギー政策について比較政策ベースで研究しているが、アメリカのエネルギー政策が他国に比べると短期的で一貫性がなく、しかも多くのveto pointとinterest groupsに振り回される傾向にあることを指摘している。

短期的で一貫性がなく、interest groupのvetoにドライブ・・・まるで現状を言い当てているような話だけれど、1993年段階でこういう研究が出てくるんだから、その参考文献リストを見ても、それ以前もそれ以後も多くの人がすでにその点を指摘し、考え、研究してきているに違いない。

問題は、それら戦争の原因になっているポイントの数々がアメリカ人の中で論じられていないことではないだろうか。

いや、この言い方には大いに語弊がある。だいたい、アメリカ人なんて括り方には無理があるのだけど、その話は今日はおいておくとして、9・11以降だって、私が知っている限りでも多くのアメリカ人がブッシュの政策、アメリカの向かっている方向、戦争そのものに疑問を唱えて、その原因について推論を展開して論じていたし、反戦デモンストレーションだってあった。

が、まずいのは、その声や意見がマス・メディアで大きく扱われることがないから、ムーブメントにならないことだ。Social Changeにおいてマス・メディアが果たす役割は大きい。マス・メディアの報道は、一件一件を単発で捉える限りは、一過性の性質が強く、一瞬は大きなインパクトを作れても、後に続くフォローアップ報道がなければ、大きな論調を生み出すには至りにくい。

たとえば、New York Timesあたりがブッシュ政権の石油政策を糾弾する記事を一本、充分な裏付け調査と共に掲載したとする。が、この記事に、NY Times自身がフォローアップ記事を継続的に掲載し続け、またNew York Times以外の新聞、TV、雑誌メディアがネタに飛びつき、自らも報じ始める、世論を形成する一般市民の中にある論調を生み出すには至らない。

これは、記事にウォーターゲート事件のようなスキャンダル性があれば、周辺メディアがわっと飛びつくので話は別だが、スキャンダル性があるのかないのかグレーゾーン内にある件の場合は、たとえN.Y.Timesが報じてもなかなか追随は出てこない。そうするとその記事は、たまたま目を留めて呼んだ人には問題提起できるし、将来的に、何かのテーマで記事を検索している人の資料になったり、引用されたりすることはあるかもしれないが、大きなムーブメントにはなりにくい。

また、たとえその件にスキャンダル性や違法性があって、ワッと他メディアが飛びついたとしても、メディア・アジェンダのキャパシティは常にゼロ・サムだから(単純に言えば、30分のニュース番組が、その日ニュースが多いからといって45分にはならないということ)、その件によっぽどの即日的即物的インパクトが一定量以上の人々にない限りは、やはりその件に関する報道は日が経るにつれてあっという間に減少していく。

(それゆえ、企業のスキャンダル報道に対する対処の中に、“とにかく波風を立てずに一定期間をしのぎ切る”という作戦が成立しうるのだ。どんなにメディアに叩かれてもそれは一過性に過ぎず、相当なダメージがあっても、ある程度のブランド力or優位的ポジショニングができていれば、時間さえ経てば事態はある程度落ち着くのが見えているからだが、それは置いといて)

9・11以来、一般人並にTV、新聞報道を見てきたが、まずは反戦・反イラク/アフガニスタン政策論がマス・メディアで扱われる絶対量が少なく、その上、たとえどこかで報道されても、それが大きな論調を形成するところまで育たないのだ。

(続く)





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最終更新日  April 7, 2005 11:36:48 AM
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