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カテゴリ:びしびし本格推理
竹本健治の〈牧場智久シリーズ〉の長編を読んだ。
〇ストーリー 湯河原では,交通事故,ストーカー,沼をキーワードにした怪談混じりの事件が起きていた。県警の楢津木刑事たちは,居酒屋で不思議な事件について語り合う。楢津木の知り合いの,本因坊の天才棋士・牧場智久のアドバイスにより,刑事たちは真相に近付くのだが・・・ ーーーーーーーーーーー 10年前に読破しようとしていた竹本健治だが,僕には珍しく断念した。何しろ分厚くて,難解な作品が多かったからだ。そうなったのはこの作者ぐらいかも知れない。 一方で,竹本健司は「キララ、探偵す」など,とてもソフトな作品も発表していて,それはそれで手に取りづらいと言うことがあった。 というワケで,だいぶ久々の竹本健司作品だった。 ーーーーーーーーーーー 作品は,いくつもの断章で始まる。街の怪談,実際の未解決の事件,個人の体験談・・・最初はあまりにもとりとめが無くて,どんな流れになるのかが不安になった。 ただ,とにかく読みやすい。見事な文章で,作品世界にすらっと引き込まれてしまう。この文章センスはなかなか努力で身に付けることが出来ないと思う。まさに天性のリズム感だと思う。 ーーーーーーーーーーー 牧場智久の登場で,「あー,このシリーズだったのか~」という寝ぼけたファンだが,登場によって作品の流れがピリッとしたのは確かだ。 実際に彼のアドバイスが見事に的中して,混沌とした状況が整理され始める。その流れは驚くほどで,急速に複数の説話がまとまり,本当に危険な事件が何か,が判明する。 最近では珍しい名探偵なのだが,リアルさを保つように距離感があるのが面白い趣向だった。 ーーーーーーーーーーー 長編なのだが,断章の重ね合わせなので,ひじょうに読みやすい。久々に出社した通勤の一日で読み終えることが出来た。 久々の竹本健治なので自信が持てないのだけれど,これって傑作なのではないんだろうか? オススメだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.04.12 22:52:13
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