|
カテゴリ:ばくばく冒険小説
「ウルトラQ」「ウルトラマン」へのオマージュに満ちたアンソロジーを読んだ。
○ストーリー 半年ぶりに戻った多々良島は,すっかりと原生の森に戻っていた。調査隊のメンバーは,それぞれの思いを抱えており,ついに怪獣を呼び寄せてしまう。 ーーーーーーーーーー 映画を同じ世界観で作成するのを”XX・ユニバース”と呼ぶことが流行っている。マーベル,DCがあり,そしてモンスター・ユニバース,ホラー・ユニバースなどがある。あまり成功していないのもあるけど。 このアンソロジーは言うまでもなく,初期ウルトラシリーズへのオマージュに満ちている。ユニバースで統一というには,作家の個性が前面に出過ぎている気がするが,それはご愛敬だろう。 最近のウルトラシリーズが,以前のシリーズから積極的に意匠を借りてきているので,ある意味時代に合っているのかも知れない。 ーーーーーーーーーー 「多々良島ふたたび」山本弘:多々良島から生還した松井は,測候所再建のために島への調査隊に志願する。調査隊には船に密航した記者・江戸川由利子もいた。島にはまだ秘密があり・・・南海の島!押しかける江戸川由利子!このノリが「ウルトラQ」だよなあ。よく魅力を掴んでいる。 「宇宙からの贈りものたち」北野勇作:大家から巨大生物の退治を依頼された青年は?・・・ちょっとテイストが違うような? 「マウンテンピーナッツ」小林泰三:女子高生の〈わたし〉は怪獣から町を守るためにウルトラマンに変身する。だが環境保護団体〈マウンテンピーナッツ〉は,怪獣の保護を訴えてウルトラマンに攻撃を加えるのだった・・・通常のウルトラマンでも物語は成立すると思ったが,なぜか女子高生。これは趣味? 「影が来る」三津田信三:江戸川由利子はもう1人の自分がすぐそばにいることに気付く。常に一歩先に行動している自分の影に出会ったとき・・・ホラーテイストなのにポップなイラストが邪魔している気がした。江戸川由利子が出ると映像が目に浮かぶなあ。 「変身障害」藤崎慎吾:モロボシ・ダンはウルトラセブンに変身が出来なくなってしまった。彼を助けてくれるのは,同じように人間体から本来の姿に戻れなくなった宇宙人たちだった。・・・宇宙人が微妙に元の名前をもじった名を名乗っているのが面白い。なんだか妙に貧乏くさくて昭和を感じた。不思議な味わいだ。 「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」田中啓文:〈足型士〉とは,怪獣の足型を取り,怪獣の百科図鑑に資料を提供する職業だった。幻の怪獣・ルクスビグラの足型を狙う男の結末は?・・・『パシフィック・リム』を思い出させる短編だ。足型へのこだわりスゴイな。 「痕の祀り」酉島伝法:倒された怪獣の死体はすぐに処理をしないと防疫上問題がある。その任に当たるのが,怪獣特殊清掃隊(かとくたい)だ。・・・これまた『パシフィック・リム』っぽい。テレビシリーズでは語られなかった部分を考えると,こうしたところを掘り下げることになるのだろう。けっこうグロイ。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.08.24 10:05:21
コメント(0) | コメントを書く
[ばくばく冒険小説] カテゴリの最新記事
|