「人類資金 (4)」福井晴敏を読んだ
全7巻の長編連作小説なのだが、各巻が薄いのでいろいろ不安になる。
〇ストーリー
国際的な詐欺の最中に、かつて関わった関西のヤクザと遭遇した真舟は、ターゲットの信用を失ってしまう。そこに出てきたのが表に出るはずのない切り札だった。真船たちは「ルール」から解き放たれた新しい世界を作ることが出来るのか?その世界は以外なところにあり・・・
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第4巻は引き続きロシア編だ。一気にピンチに陥った主人公・真舟たちだが、なんとか切り抜け、さらに虎口に飛び込み《M資金》へ攻撃をしかけようとする。
絶体絶命の彼の前に現れたのは・・・
・・・うーん、出ちゃうんだ。
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たぶん、映画版はこの第4巻までのストーリーで終わっているのだと思う。物語としてはきちんとまとまっている。
ロシア編が続き、驚きの展開があるまではいいのだけれど、その後が現在の日本国家を批判する展開が延々と続き、かなり参った。
新しい価値観を提示するのにあたり、それまでの社会を上から下まで全否定する必要があるのだろうか?たぶんに宗教じみたロジックの流れだと思う。
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その後の展開は忘れていたので無防備だった。
確かに無邪気な夢かも知れないけれど、文明が乾いた土地ならば一気に浸透して新しい可能性を築くかも知れない。でも、ユーチューバを眺めるだけの怠惰な民衆を生むかも知れないけれどね。
批判上等で、新しいソリューションを見せようとする作者の気概に、今回ばっかりは脱帽した。
残り3巻のストーリーが持つのかなあ、という不安はあるけどね。