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カテゴリ:がちがちハードボイルド
結城充考の〈イルマ・シリーズ〉の第3作目を読んだ。 〇ストーリー 送り付けられた荷物が爆発して,大学教授が死亡した。同時にその近くの大手通信事業者の高層ビルに男が人質を取り立て籠もる。警視庁捜査一課のイルマは,犯人である元傭兵の斉東を取り押さえる。だがそれは,”ex”と斉東たちが描いた大きな計画の一部でしかなかった。身内に犠牲者を出し続けるイルマたちは,”ex”にたどり着けるのか? ーーーーーーーーーー 孤立した施設という冒険ミステリーのプロットとなった〈イルマシリーズ〉の第2作から,第1作に近い展開に戻っている。 検挙率がナンバーワンで頭脳も行動力もすぐれているが,周囲や上司と上手く合わせることの出来ない警部補・イルマ。1000ccのバイクを駆り,単独で犯人を追い,場合によっては確保のために格闘を厭わない。 第1作では中国黒社会の殺し屋と戦い,この作品では元・傭兵と戦う。 端的に言って,スーパーヒロインだな。 ーーーーーーーーーー このシリーズは,イルマの部下のクールな宇野,鑑識のオッサン・渕くらいしか同僚がいなかった。この第3作になり,爆破物処理班の土師,女性キャリアの伊上,イルマと同行して負傷する同僚など,他のキャラクターに光が当たり始めてきた。 どうしてもワンマン(ワンウーマン?)な展開になりがちなので,イルマにいろいろな人とのかかわりが生まれる方が作品に厚みが出て,かつ柔らかくなる。第1作なんて,あらすじがそのまま文章になっているような部分があったもんなあ。 ーーーーーーーーーー しかし今回の悪役たちも,イルマ以上にスーパーな存在で驚く。イルマと同等のバイクテクニックを持ち,爆発物の扱いに長け,さらに人々を自分に心酔させるカリスマ ”ex”。元・傭兵というだけでなく,特殊工作により新種の武器などを製作してしまう斉東。 今思えば,中国黒社会の暗殺者の方がリアルだったかも。 ちょっとインフレ進んじゃってるよね。 ーーーーーーーーーー 文庫版の表紙のイメージが強過ぎて,僕もだいぶ引っ張られているけれど,さすがにもっと普通のルックスだろう。 拗ねたような性格のイルマだが,時々ちゃんと大人の対応をしているのが良いよね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.08.24 15:31:27
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