早起きは三門の徳 その6
上海で陳氏太極拳を指導する養芯会より。講師塚本の回顧碌です。このお話は今から約15年ほど前のお話。学生と父兄に、『校長に相談したら?』とだけ話して、とりあえず、宿舎に戻りました。いずれにしても、現在の教室の状況、 教科書無い 専門の中国人教師がいない カリキュラムが無いまったくもって、何もない!!こんな事で、語学の本格的な勉強は無理でしょう。翌日、一度目の授業の後、校長室に呼び出されました。その時、先に学生たちがいて、校長と何か相談をしています。『で、入学にどのくらい成績が足りないんだ?』『○○点くらいです』『だいたい、○○元だな・・・・帰って家族に相談しなさい』後で確認して衝撃だったのですが、入学の為の成績が足りないのでお金を出して点数を買う!!!益々やる気をなくしました。こんなところで時間を使うのは嫌だな。と、まあ、その入学希望者が退出した後、校長がイロイロと雑談を振ってきた途中、突然切り出しました。『日本語科を作ってくれないか』『無理です』退出しました。出来るわけないでしょ。中国人の先生もいないし、教科書も無い、カリキュラムも無い。・・・・・・・その後の授業の後も学生達が交渉と言うか、懇願に来ます。毎時間後。ちょっと、困ってしまった。理由は、私の学生時代と状況が非常に似ていたから。私の高校時代は勉強から見事に落ちこぼれ、にっちもさっちもいかないまま、自信喪失で卒業。その後、ある転機を経て、 勉強も頑張ってみよう!!となったのです。そのきっかけは、何と空手だったりします。漫画みたいですが、人が自信を付けると言うのはどの切っ掛けかわからないものです。その時の師範代に言われた言葉も、私の背中を押しました。・・・・・・・とまあ、その当時の事をちょっと思い出したりして。また、校長室に呼ばれた時に『どうすれば、日本語科を作ってくれるか?』『日本語科も何も、中国人の日本語教師がいないでしょ。私の中国語で細かい文法を伝えるのは無理。次に、教科書が無い。2年半で学ぶための教科書は日本の学校が推薦したものではボリュームが多すぎる。そして、カリキュラムが出来ていない』『では、中国人教師がいて、新しい教科書があって、カリキュラムがあれば先生を続けてくれると言う事か?』『交渉しないでください。教科書を誰が準備するのでしょう?カリキュラムは?』『子供達を見捨てないでくれ!!』『・・・・・・・・・・』気が付いたら、日本語科設定の流れに乗っていました。急きょ、1年生全体に募集が掛けられ、各クラスで説明会です。『君たち、長い事英語を勉強してきたが、いかなる結果を残してきたか?もちろん、それなりの成績の人間もいるだろう。しかし、苦手であり、点数が取れない場合、逆転の機会は非常に薄いと見て過言では無い。一方、皆さん知っている様に、現在学校は日本語科を開講する予定でいる。日本語を学べば必ずしも大学受験に間に合う保証はない。しかし、現在の日本語学習者の人口や日本語教師のレベルと人口を考えた場合、英語に比べて遥かに可能性があると言える。保証は出来ない。可能性を考える学生は家族と相談の上、参加いただきたい』何という話をして回りました。ちなみに、この時はまだ『代行日本語教師』です。正規の中国人教師が来るまでの。と、募集を掛けて数日後に集まった参加者は450人中60人。定員の2倍が来てしまいました。その後、英語科教師の妨害などが有り、翌日31人になって、更に減らされて24人。当時の日記を見ても逆風吹きまくっています。最終的に残った24人は学校でも問題児ばかりです。 でも、やってやろう!正規の先生が来るまで!!とまあ、それから直ぐに教科書を買いに北京へ移動したのでした。洛陽の当時の本屋さん新華書店には日本語教材はわずかだったのですね。次回でとりあえず、三門の徳は終了です。上海で太極拳に興味のある方、養芯会HPまでご連絡ください。