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January 7, 2007
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カテゴリ:ホラー映画
 シリーズも3作目(テレビドラマ版もいれると4回目の映像化)ともなると、内容的に「キビしーく」なってくるのは予想できた。それでも見てしまったのは、“死の予告電話”の恐さをまた味わいたかったからだ(テレビドラマ版は、“死の予告電話”から脱線していた)。マイ・ケータイを“死の着メロ”に設定しようかなんて、趣味が悪いかな(勝手にしたら)。
“死の予告電話”は、持ち主自身の発信番号で、携帯に電話がかかってくる。発信時刻は、数日後から数分後。持ち主が死ぬ瞬間の苦しそうな声や映像が送られてくる。予告の時刻になると、電話で聞こえた言葉を発し、映像にあった姿をして、まちがいなく、苦しみながら、死んでしまうのだよ。
 “死の予告電話”は、「リング」に出てきた“呪いのビデオ”のお仲間だ。うっかりビデオを見てしまったら、もう死ぬしかない。自分が誰かに何かをして祟られるのではなく、“呪いのビデオ”も “死の予告電話”も、ある日突然やってくる。間近に死が迫っているとわかりながらも逃れる方法がないところが恐い。
 さて、今回は、“死の予告電話”の発信元 (美々子)が、いじめられっ子の鬱積した気持ちとシンクロしたらしい。虐げられた女子高生に目をつけ、いじめた側に“死の予告電話”を送らせている。堀北真希、黒木メイサがいじめを受けている(またはその候補者)という設定だ。
 しかし、堀北はかわいいし、友達想い。黒木は、しっかりしていてリーダーシップがある。どうしてこの二人がいじめを受けるのだろう。たとえば、顔立ちはかわいいけれど、どんくさい、トロい、のろまである。あるいは、シャキッとしていて優等生タイプなのだけれど、意外やくたびれたパンツをはいていて、しみったれだとの噂がひろまった。そんなふうに、プラス面の表面に空いたつけいる隙が見つかると、とたんにいじめの猛攻を受けるのである。いじめる側のもつ劣等感がひっくり返って、相手を貶めるために攻撃性を帯びる。
 堀北も黒木も売り出し中の若手女優(タレント)だから、格好悪い悲惨な役はできないのでしょう。でも、単なる悲劇のいじめられっ子だと、深みがないんだよね。堀北の場合は、いじめられっ子でありながら、ふたつの人格に分けて演じている。一方はクラスメートに“死の予告電話”をかける呪いの復讐鬼。もう一方は昏睡状態にある。目覚めれば、けなげな、いたいけな少女だ。こちらが実体なので、堀北のタレントとしての汚れなき純粋無垢なイメージは保たれるというわけだ。けど恐さは半減。
 黒木たちは、堀北を一人東京に残して、韓国釜山へ修学旅行に出かける。なんで、なぜわざわざ韓国にまで行かなければならなかったのか、よくわからない。「着信アリ(2004)」では、“死の予告電話”の謎を解こうと登場人物たちが行動する。「着信アリ2(2005)」では、謎を追って主人公たちが台湾に飛ぶ。そんな流れから、韓国でも“死の予告電話”に迫るのだろう、と見ていたが、そういう動きはなかった。堀北が遠隔地から呪いをかけてくるのであれば、北海道あたりでもいい。わざわざ外国まで行くのだから、そこに何かあるだろうと思うのだが、韓国である必然性はあったのか。単に韓流スターを映画に登場させたかったのか?
国際的なスパムメール作戦が目的だったのか?などと余計なことが頭を巡って、恐怖を感じているどころじゃない。
 修学旅行中に、つぎつぎと“死の予告電話”がかかり、男子も女子も高校生たちが死んでいく。「着信アリFinal」では、新たな仕掛けがある。“転送すれば死なない”。それによって、だれかの携帯に“死の着メロ”がなれば、「オレに送るな」「私に転送しちゃだめ」と修学旅行の高校生集団は文化祭並みの大騒ぎ。みんなが死を恐れ、自分だけは助かりたいというおぞましい有様が見られる。  
 “恐い”様子をクローズアップしようとする気持ちはわかるのだが、それはちがうだろう。ホラーにおける恐さとは、なんだかよくわからないものであり、人知れず忍び寄るものである。だれにも信じてもらえず、だれも頼りにできないといった救いのなさが恐さを演出するのだ。異国でバタバタ高校生が死んでいき、警察騒ぎにもなれば、呪いをかける霊の方も「やべぇ」と行動を控えるのではないか。
 「着信アリ」では、“死の予告電話”を受け取った女子大生をネタに、テレビ番組で公開除霊が行われた。これは、無責任なテレビや物見高い大衆のおぞましさを感じさせながら、たとえ公開の場であっても“死の予告電話”から逃れることはできないという霊の恐さを見せていたのだ。
 “転送すれば死なない”を効果的に使って、もっとじっくりと恐怖を描いてほしかったが、残念。
 タイトルにFinalとあるから、「着信アリ」シリーズもこれで打ち止めか。もうちょっとていねいに作ったら、まだまだ内容で勝負できたのに。シリーズに頼った“商品”になってしまったね。それともFinalとは、今回の“死の予告電話”における最後(そこに多少なりともドラマがあったから、そう読めないこともない)という意味であって、つぎに「新・着信アリ 呪いのポータビリティ」なんてものが出てくるかもしれない。そしたら、またおつきあいします。

 むしろ高校生たちが、日常でも、映画の中でも、みんなが同じ話し方をすることの方が恐い。
「つーか、恐くね?」「むずい」「きもい」「まじ、やばげじゃない?」「ちょー恐怖入ってるしぃ」


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Last updated  January 7, 2007 06:34:42 AM
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