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テーマ:DVD映画鑑賞(14215)
カテゴリ:ドラマ
「死の商人」という言葉を初めて聞いたのは、マンガ「サイボーグ009」でした。世界各国に武器を売り、戦争を煽って利益を得るブラックゴースト団(サイボーグ009たちの宿敵)こそ、「死の商人」です。
当時小学生だった私は、そんなひどい商売があるのかと愕然としたものです。戦争は罪もない大勢の人々を苦しめるもの。そこで荒稼ぎをしようだなんて、許されることではありません。007の最強の敵スペクター、0011ナポレオン・ソロが闘う怨敵スラッシュなどの国際犯罪組織より数段悪い奴らだと思いました。 映画「ロード・オブ・ウォー」は、「死の商人」が主人公です。ユーリー(ニコラス・ケイジ)は、世界情勢を的確に判断して武器を売りさばき、巨額の富を得ます。けれど、「死の商人」につきまとう極悪、暗黒、人非人などのイメージはないのです。妻を愛し、よき夫、父親であろうとするユーリー。子供がおもちゃのピストルをもっていると、ゴミ箱に捨ててしまいます。人を傷つけたり、殺したりすることなんかはできないし、その場面に居合わせたときは、目を背けてしまう。 ユーリーは、人から「なぜ武器を取り扱って商売をするのか」と非難がましく聞かれると、「才能」があるからと答えます。戦争が終わり、アメリカ軍が戦場から撤退するときに大量の武器が捨てられる。運搬にコストをかけるより安くすむからだ。ユーリーは、それを転売します。冷戦終了後には東欧諸国にあった大量の武器を横流して大儲けします。ユーリーにとって武器を商うのは、天性の才能を発揮しているにすぎません。それはイチローがメジャーリーグでプレーすることや、エルビス・プレスリーがショウビジネスの世界でスポットライトを浴びることと同じなのです。 一般に才能とは、プラス方向のものを指します。演技力や経営能力など、人より優れているもののことです。たいていの人は、何の才能にも恵まれないので、才能をもっている人は羨ましがられるものです。 才能は、努力して伸ばすことが大切です。イチロー選手は、子供の頃親戚から「プロ野球選手として成功するなんて、夢の世界の話さ」と突き放されたとか。でも、彼は日々地道な努力を積み重ねることによって才能を開花させました。才能のある人は、努力も怠らないのでしょう。恐らく、才能のある人は、成果が確実に現れるので、努力することがおもしろいのだと思います。逆に、凡人は、努力してもそうそう力が伸びるものではない。根性でがんばる人もいますが、才能ある人には叶わない(努力することは悪いことではない)。 しかし、中には困った能力に長けている場合もあります。人の物を盗むことが上手な人、女性をだますことが得意な人など。それらも、才能といってもいいのでしょうか。きっと、盗みなんてカンタン、女なんてちょろい、と感じているに違いありません。そして、彼らもまた、自らの能力に磨きをかけます。 「マイ・ボディガード(2004)」のクリーシーは、元特殊部隊員。「殺しの天才」と言われていました。テロリスト暗殺に明け暮れていましたが、任を解かれ、酒と聖書に救いを求めていた。「殺し」の過去と、それ以外に力を発揮できない自分に苛まれていたわけです。こういった才能に恵まれていても、つぎ込む場面が限られているわけだし、例え活用したとしても「あー、今日はいい仕事をした」などと達成感が得られるものでもありません。クリーシーの場合は、幼気な少女ピタと心を通わせることで人生を取り戻し、誘拐されたピタを救うことで、自己の才能を生かすことができました。 ユーリー家族は、彼が巨額の収入を得ているのは、血塗られた仕事によってだとわかり、彼のもとを去っていきます。それが世間の常識です。孤独になりながらも、武器商人をやめられないユーリー。それは天賦の才能ゆえです。 ニコラス・ケイジは、「ゴーストライダー」を演じる前に、すでに悪魔に魂を売っていたのでした。 毎週日曜日の朝には必ず更新しています。つぎも読んでくれたら嬉しいです。 人気blogランキングに参加中。クリックしてください。 ご協力、よろしくお願いします。 みんなブルース・リーになりたかった お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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