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テーマ:DVD映画鑑賞(14215)
カテゴリ:SF映画
小学校の図画工作の時間には、似たような絵が何枚も見られることがありました。絵の得意な子と不得意な子がいます。得意な子は、さっさと描き上げていく。何をどう描いていいかわからなくて画用紙が白いままだった子達は、「いいなぁ、上手だなぁ。あんなふうに描きたいなぁ」などと考えて、ほとんど同じ構図の絵を再現してしまうのです、内容は劣りますが。とにもかくにもようやく時間内に間に合ったと思ったら、友達から「まねっこ、まねっこ」と囃し立てられてしまいってガックリ。
大映の「大怪獣ガメラ(1965)」が公開されたときには、東宝ゴジラの「二番煎じ」「後追い企画」の印象がありました。当初人類の脅威として登場したゴジラですが、「三大怪獣 地球最大の決戦(1964)」で、地球(日本?)怪獣仲間と共闘して宇宙怪獣キングギドラを迎え撃ったことをきっかけに、徐々に人類の敵ではなくなりつつありました。その様子を見ていた子供達は、最初は悪役として登場したガメラも、ゴジラのパターンを踏襲して、きっと善玉に転向するだろうなという予想を立てました。そして、やっぱりその通りになりました。 怪獣映画好きにとっては、「二番煎じ」「後追い企画」などといわれようが、ゴジラの制作本数が限られていることもあり、ガメラの映画も欠かさず見たものです。 特撮怪獣映画は、東宝の専売特許でした。けれど、ガメラのシリーズ化、ウルトラQ、ウルトラマンのテレビ放送(1966)などにより怪獣ブームが起こりました。邦画各社は、怪獣映画を作ります。松竹は「宇宙大怪獣ギララ(1967)」、日活は「大巨獣ガッパ(1967)」、東映は“時代劇は東映”のキャッチフレーズに乗って忍者がドロンドロンと大蝦蟇や竜に変身する「怪竜大決戦(1966)」なんて調子です。みんな「二番煎じ」「後追い企画」です。 その中で生き残ったのはガメラだけなのです。ほかはみんな1本の作品だけで消えていった。ギララやガッパは、人類の味方となって敵怪獣とバトルを繰り広げることはありませんでした。それにくらべてガメラは、昭和に8本の作品に登場、平成になってからは4本、その中で「ガメラ大怪獣空中決戦(1995)」という大傑作も生み出します。ちなみにゴジラは全28作です。 「二番煎じ」「後追い企画」といわれながら、本家ゴジラを凌ぐかのガメラ。その人気の秘密は、ゴジラの亜流のようでありながら(ゴジラの設定をいただきながら)、ゴジラにはない魅力をもっているところでしょう。恐竜型怪獣が主流の中でばかでかい“亀”というキャラクター、敵怪獣の攻撃を受け流血大淋漓(子供が見るのに!)、などなど。 その中でも、空を飛ぶことは、本家ゴジラにはできませんでした。甲羅の中に首や手足を引っ込めて、そこから回転ジェット噴射で空中に舞い上がります。ガメラは、口から火を吐きます。子供の頃は、ガメラが首をひっこめた後、甲羅の中でお腹あたりに向かって火を噴き出し、それが手足の穴から出てくるのだと勝手に解釈していました。 ガメラの活躍によって、本家ゴジラも逆影響を受けます。怪獣との闘いで流血したり、ついに「ゴジラ対ヘドラ(1971)では、放射能火炎を噴射しながら体を浮かせて、後ろ向きに飛んでいくという離れ業を見せます。本来飛ぶはずのないゴジラを飛ばせてしまったところは、凄いと言わざるを得ません。 「リベリオン」について、「マトリックス(1999)」の「二番煎じ」「後追い企画」「パクり」などと言う人たちがいます。近未来を舞台にしていること、アクション、黒いロングコートのファッションなどからそういう印象を受けるのです。 しかし、「リベリオン」は独自の作品世界をもっています。作品の中にガン=カタ(Gun Kata)が登場するのです。 ガン=カタは、格闘技と射撃を組み合わせたような技です。「リベリオン」の監督、カート・ウィマーの考案により、この作品で初めて公開されました。例えば打撃系の格闘技では、キックやパンチを相手にあてます。ガン=カタは、格闘技のような動きの中で、キックやパンチによる攻撃の変わりに拳銃を撃つのです。「リベリオン」は、ストーリー展開もさることながら、ガン=カタを見るのがじつに楽しい。流れるような動きで敵の銃弾を避けながら、二丁拳銃を効果的に撃ち込んでいきます。 ブルース・リーのカンフーや勝新太郎の座頭市、瞬速の居合い斬りは、スクリーンに映える美事な格闘芸術です。お話の流れとともに、カンフーや居合い斬りをどこで見せてくれるのか、わくわくしながら映画を見守った。「リベリオン」のガン=カタも、まさにそんな魅惑の必殺技だ。 「リベリオン」は、ガン=カタによって、「マトリックス」の「二番煎じ」「後追い企画」「パクり」の誹りを免れ、アクション映画史に語り継がれる存在になりました。 これは、ガメラが回転ジェット噴射で空を飛ぶことで、怪獣王ゴジラに一矢報いたことに共通します。かつてフリッツ・フォン・エリックというプロレスラーがいました。その頃アメリカマット界には、ドイツナチスを名乗る悪役レスラーがたくさんいたのです。そのギミックだけで、誰でも売り出せるほどプロレス界は甘くはない。エリックは、自らの握力が並はずれて強力なことに気づきます。そして、アイアン・クローという戦慄の必殺技(対戦相手の顔面をつかむと、こめかみあたりから流血する)を身に付けることにより、凡百のレスラーから抜きんでたスターレスラーとなっていきます。 見せることができるフェイバレット・ホールド、これが大切なんだね。 だから、まねっこ小学生も、上手な絵を写したようでありながら、自分の絵には、ガーンと強烈に印象に残る建物なり、人物なりを描いたならば、クラスの子供達は恐れをなしたかも。 毎週日曜日の朝には必ず更新しています。つぎも読んでくれたら嬉しいです。 人気blogランキングに参加中。クリックしてください。 ご協力、よろしくお願いします。 みんなブルース・リーになりたかった お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 8, 2007 06:44:55 AM
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