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August 24, 2007
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カテゴリ:ドラマ
泥酔したり、無理難題をふっかけたり、ぶん殴ったり、彼女はとっても猟奇的。その彼女を支える優しい彼。

「猟奇的な彼女(2001)」

監督:クァク・ジェヨン
出演:チョン・ジヒョン:ウンジュ チャ・テヒョン:キョヌ

 携帯電話を取り替えました。風水によると、古い携帯は、運気をのがすとのこと。幸運にはからきし恵まれないからね。
 
 夏休みは、DVDを見て過ごした。きょうの映画は「猟奇的な彼女(2001)」。韓流、ラブ・コメディ、このジャンルも普段だったら、見向きもしないだろう。劇場何度か予告編を見たが、その時点では食指が動かなかった。状況が変われば、見る映画も変わるもんだ。

 グータラ大学生のキョヌは、夜の駅で “猟奇的な彼女”と出会う。彼女は泥酔状態。電車が来ているというのに、プラットフォームから落ちそうになって、それを抱き止める。電車内で嘔吐し、周囲の乗客に迷惑をかける。キョヌは行きがかり上彼女を介抱し、それがきっかけで“つきあい”が始まる。
 “猟奇的な彼女”は日常的に恐い。お年寄りに席をゆずらない若者にバシバシ説教する。一番の被害者は、キョヌだ。対応が気に入らないとパンチやビンタがとんでくる。さらに、いやがるキョヌに自分のハイヒールを履いてキャンパスを歩けなど。
 ほとほと困り果てるキョヌだが、“猟奇的な彼女”のわがままを受け入れるうちに・・・・
 
 キョヌと“猟奇的な彼女”は、多くの時間を一緒に過ごす。ラブコメディということで、キョヌのずっこけ場面が続くが、終盤に入ってぐっとシリアスになる。やはり男女の間柄。いつまでもこのままではいられない。お互いにの別れが近づいてきたことを実感する。彼女とキョヌは山登りに出かける。突然彼女が言う。「キョヌ、向こうの峰まで行って。あそこまで声が聞こえるかどうか試してみたい」
 キョヌは、またまた彼女が無理難題をいっているとうんざりするが、例によっていう通りにする。
 「キョヌ、聞こえる」聞こえるはずがない。「ごめんね。私、立ち直れないの」彼女の好きな人は死んでしまい、彼女はキョヌにその面影を投影していたのであった。キョヌは、どこまで自分を受け入れてくれるか、そこに気持ちの切り替えを賭けていた。

 そうか、「立ち直れないの」と認めることはありなんだ。立ち直ろう、なんとかしようとするから、できない自分がネガティブになってしまう。「立ち直れない」状態を素直に受け入れれば、ポジティブになれる、ってことないけれど、気は楽になるってもんだ。

 二人は、山の木の根本に、お互いにあてた手紙を埋める。二年たって、一緒に手紙を掘り出すことができるかどうか、確かめることになる。

 いずれにしても、当事者同士がお互いに納得いく形がとれたことがいいね。やっぱり一方的だとね、説明も何にもなく、問答無用、一刀両断にされた場合、何が何だかわかんなくて、引きずってしまうからね。片方に一方的に責任があるってことであれば、確かにそうなんだけど。

 キョヌも“猟奇的な彼女”も大学生で、性格的にちょっと難アリって感じだけど、自分で考えて行動している。キョヌは、うるさいお母さんから上手に逃れているし、“猟奇的な彼女”も、母親から「どうして今日お見合いに来なかったの?私の紹介する人が気に入らないの?キョヌとかいうにはマヌケ男には会うなと言ったはずよ」と猛攻を受けても「口出ししないで、自分がマヌケだから他人もマヌケに見えるのよ」と反撃する。

 韓国は、儒教社会で、子は親の意向に従うという考え方が根強くあるらしい。子供はある年齢に達したら、親の支配から脱して自立しようとするのが自然な発達。自立した人間として親孝行するのはいいけれど、何でも従ってしまうようでは自己の確立が難しい。親のみならず、他人に譲ってしまうことになりがち。

 人に気を遣うことはとても大切なことだけど、自分を抑えて、意に沿わない人ともつきあうようなことはしなくてもいいと思う。都合の悪いときは、その旨を伝えてやんわり断るのが、人間関係だ。自分が我慢してやりすごしたり、歓迎した振りをするのは、一面では友好的かもしれないが、相手の視点にしか立っていない。
 人に見せるために自分がいるのではない。他人を大切にすると共に、自分のことも、もっともっと大事に。
 自分のことを大事にできないと、生きるのがつらい。自分にうそをついてはいけない。過度の自制心はいらない。
 
 それに、自分が困っているときに、一人で背負い込まないで、助けを求めたっていいじゃないか。

 “猟奇的な彼女”は、彼氏が死んで、最初は酒に助けを求めた。次に、キョヌに助けを求めた。無理難題をふっかけて、キョヌを困らせたが、それはぎりぎりのところで助けてほしいからだった。キョヌも“猟奇的な彼女”の並はずれた奇行奇癖を見て、ひどい女、悪い女と認識するより、何かを感じ取り放っておけなかったのだろう。究極のわがままと究極のやさしさで、深い人間関係が築かれていったのだ。

 よい子に見せようとしなくても、自分は自分、いつも十分頑張っている。楽しいときには恐がらず楽しみ、辛いときは我慢しないで辛いと言おう。そんな自分を愛してあげよう。あなたは、決して悪い子ではない。今の自分を認めてあげよう。そこから始めよう。こうあらねばならない、ということはない。「猟奇的な彼女」のように、ありのままの自分を愛してくれる人がいる。

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Last updated  January 6, 2008 07:44:27 AM
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