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August 27, 2007
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カテゴリ:ドラマ
 「最後の恋のはじめ方」なんて、キザなタイトルだ。これは、映画の中で「最後のファーストキス(つまり、ファーストキスは1回だけだから大事にしろという意味)」というセリフが出てきたので、そこから日本の配給会社が思いついたのだろう。原題は「HITCH」。主人公の名前だ。

「最後の恋のはじめ方(2006)」

監督:アンディ・テナント
出演:ヒッチ:ウィル・スミス サラ:エヴァ・メンデス

 ヒッチは、シャイな人など、根はとってもいい人なんだが恋愛奥手の人を手助けするデート・ドクター。依頼人の一途な思いを遂げさせるよう、コーチする。彼は、自分の経験から得た基本ルールを元にして、クライアントに恋の演出を指導する。
 その一方ヒッチは、バーで新聞記者のサラと出会い淡い関係に。しかし、サラは、デート・ドクターという職業を誤解する。友達がヒッチのナンパ指南によって、ひっかけられ捨てられたと勘違いしたのだ。
 他人のことはうまくコーチできても、ヒッチ自身の恋愛はなかなかうまくいかない。クライアントからも「きみは恋がわかってない。ただの商売だ」「きみは恋と向き合ったことがない、臆病者はぼくじゃなかった」と言われてしまう。
さらに、クライアントは、彼の演出による部分ではなく、素のままでいるところがよくて、恋人ができた。
 それまで、自分をカモフラージュしてきたヒッチだが・・・恋にルール(きまりごと)はない。

 ヒッチは、気の弱い、自分に自信のない男達に、恋の演出を手ほどきした。自分の書いた台本通りにやれば、きっとうまくいく、と。そしてかなりの確率でその通りになっていたようだ。それをきっかけに、自分に自信をもてるようになった男もいる。ヒッチとしては、弱者救済、みんなにいい恋をしてもらいたいとの善意からの仕事だった。

 私自身、仕事柄、後輩をコーチする。コーチとは、その人を伸ばすことだ。私がコーチした人は、あまりにナイーブ(純粋で傷つきやすい)なので、荒波にもまれて、あるプロジェクトを途中で投げ出しそうになった。
 そこで、コーチ役が代わりに仕事をやってあげたり、完璧な台本を書いて渡したりすると、その人の成長の芽を摘んでしまうことになる。安易な手出しはせず、助言や支援を重ねて、自分の力でやり遂げさせなければならない。
 その人は、くじけそうになりながらも、期待に応えて最後まで頑張り、自力で難事業を完遂させた。
 他人があげた成果ではあるが、私は自分のことのように、ではなくて、自分のことより嬉しかった。

 ヒッチも、情報や過去のデータによる“女心をいかにくすぐるか”の演出戦略ではなく、その人の魅力をいかに引き立てるかを考えるべきだった。演出は長続きしない。ヒッチが演出戦略を教えているうちはいいが、教えなくなったら、クライアントはできないでしょう。どこかへ行くときに、人に連れて行ってもらってばかりでは、道順を覚えません。自分で車を運転していけば、しっかりと覚えます。例え演出するにしても、それを自分でできるようにするのが、コーチの役目です。

 けど、この映画、思わず吹き出しそうな場面がいくつもある。ラブ・コメディとしては、タイミングを心得た“演出”をしているのではないか。

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Last updated  August 27, 2007 05:21:49 AM
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