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September 15, 2007
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カテゴリ:ドラマ
皇帝ペンギンの中の異端児マンブルが、自分らしく生き、自分の特技を生かして、皇帝ペンギンの群れを救うお話。

監督 ジョージ・ミラー

 ジョージ・ミラーといえば、「マッドマックス(1979)」でしょう。皇帝ペンギンの映画なんて、同姓同名の別人かと思いました。でも、子豚を主人公にした「ベイブ(1995)」も撮っているんですね。

 皇帝ペンギンにとっては、自分自身の“心の歌”を見つけることがとても重要なことだ。
けれど、マンブルは、うまく声が出ない。歌が歌えない皇帝ペンギンは、幸せな家庭をもつことができないと言われている。
マンブルは、歌が歌えないが、かわりにタップダンスに天賦の才がある。

 ここまでの設定を見ていて、最後は、マンブルの人並みはずれたダンスの才能が認められてハッピーエンドと予測ができる。
 大筋では合っているが、スケールはもっと大きい。皇帝ペンギンの群れだけの話かと思っていると、どんどん話は発展していく。映画の最初に地球を眺める構図から入っていくが、それは、この映画の展開を暗示していたわけだ。

 皇帝ペンギンの社会は、非常に保守的で、拘束が大きい。歌が歌えないペンギンを異端視して、許しておかない。

 ボクたちは、人間社会を生きていく上で、やはり大きな拘束を受けている。例えばネクタイにスーツって何なのだ。今年の夏は暑かった。そんな中で、なぜネクタイなんてものを締めていなければならないのか。それは、自己主張よりも、社会に従順な人間であることを示そうとするからだ。
 個性を発揮しろ、などともいわれるが、それは、他人にとって都合のよい部分のことであって、一人の人間が、自分のペースですきなように振る舞っては、他からはじかれてしまう。

 マンブルは、保守的、閉鎖的なペンギン社会の中で、ダンスの楽しさを広めようとして、長老たちから追放を言い渡される。母親は、マンブルを弁護するが、父親は「長老たちの言うことを聞け」と言う。さらに「自分が悪かった」と責任を感じる。卵を暖めているときに、落としてしまったことがあり、そのことでマンブルが変になったというのだ。

 過剰に責任を感じる父親だが、自分を責めても問題は解決しない。
 父親はマンブルに言う。「踊るのはやめなさい」
 しかし、マンブルは答える。「ムリだよ、これがぼくなんだ」
 その結果、マンブルは群れを追放されてしまいます。

 群れに適応するために、自分を殺して、群れの価値観の中に自己を埋没させる父親と、自分に素直に生きる息子。この後、父親は抑鬱状態に陥っていく。

 社会にはルールがあり、そこからはみ出してしまってはいけない。しかし、本当の自分を捨ててしまっては、ただ空気を吸って、食物を摂取し、物を消費するだけの存在になってしまう。自分が自分らしくあるためには、ほかの何かを犠牲にすることもでてくる。他人にいい顔することと、自分らしく生きることは両立できないかも。
 
 だから、ボクは、あきらめない。「ムリだよ、これがボクなんだ」

チャンスは自分から作っていかないと、逃してしまう。
 
待つことは苦痛です。でも待たないことより幸福です。

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Last updated  September 24, 2007 05:46:01 AM
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