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December 9, 2007
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カテゴリ:サスペンス映画
意表を突くとは、まさにこの映画のようなことをいうのでしょう。しかも、私好みのテイストでした。今回は、意表外の展開についてお話ししますので、これから映画を見る方、その予想しなかった展開を楽しみに取っておきたい方は、映画を先に見てからお読みください。

「デジャヴ(2006)」

監督:トニー・スコット
出演:ダグ:デンゼル・ワシントン
  クレア:ポーラ・パットン

 映画を十分に楽しむためには、なるべく予備知識がない方がいい。だから、映画館では、予告編の時間に目をつぶっています(そのまま眠ってしまう場合もあったりして)。予告編を見ることにより映像の先行情報が入ると、本編を見たときに新鮮さが失われます。また、予告編の映像をつなぎ合わせて、頭の中で勝手に映画を作って、一人で盛り上がってしまうこともあります。そうするとデジャヴができてしまうのです。実際の映画が想像したものよりつまらない場合は、余計にガックリきます。だから、予告編は見ません。
 当然雑誌や新聞の映画に関する記事は読まない。映画の原作小説やノベライズなどは、映画を見終わった後に読みます。
 そのようにしていても、まったく白紙の状態で映画に臨むことはできません。なんだかんだであらすじや見どころなどの情報が耳に、目に入ってきてしまいます。さらに、映画を選ぶときは、最低限ジャンルを参考にします。ホラーかアクションかコメディかなど。そうすると、ある程度内容の予測がつきます。それぞれのジャンルには、特有の展開やお約束ごとがあるからです。

 今回、レンタルビデオ屋さんで「デジャヴ」を借りたのは、ジャンル的にサスペンス・アクションの内容を期待したからです。
 テロによりフェリーが大爆発、乗客543人が死亡する大惨事がおきる。ATF捜査官のダグ・カーリンは、事件を追ううちに川に流された一人の女性、クレアの死体を発見。彼女は、爆破テロの犠牲者と見せかけて、実はそれ以前に殺されていた。タグは、これまでクレアを見たことはないはずなのだが、なぜか会ったたことがあるように (デジャヴ)感じる。
 ATFとは、アルコール・タバコ・火気局だそうです。アメリカにはいろいろな捜査官がいるものです。
 
 ダグは、捜査のために、スパイ衛星による監視システムの録画映像を見せられる。そこには、クレアの私生活が映し出されているのです。なんと、家の中までカメラは侵入し、シャワーを浴びている様子も見えてしまう。(スパイ衛星からは、こんなふうに個人の生活が覗かれてしまうのか、恐いな、と思う私)しかし、様々なカメラから撮った映像を編集する都合で、4日と6時間前の映像しか見られません(編集に4日と6時間がかかるのです)。しかも、動画の容量の関係で、早送りや巻き戻しはできないとのこと。(うん?なんか変だなあ。便利な割には制約が多いな、と思う私)

 やがてダグは見抜きました。そう、じつはこの装置、偶然から開発された過去を覗き見るカメラだったのです!(な、なにい?)時空を折り曲げることにより、過去を撮影して現在に映しだすことができるのだそうですよ。
 さらに、ゴーグルをつけて外に飛び出せば、映像を見ながら過去の犯人の足取りを追うことができる。その場にはいないけれど、映像には映し出されている犯人の車とカーチェイスを繰り広がるダグ。現実の世界ではほかの車が走っているのだから、ボンボンぶちあててしまいます。事件を解決するために、無関係の犠牲者が新たに出ていますが、いいのでしょうか。
 ダグは、言います。「捜査官として自分は、いつも事件が終わって、犠牲者が出た後で犯人を捕まえている。オレは、犯罪の被害者を未然に救いたいんだあ」
 ダグの言葉にウソはないと思います。けれど、ダグが本当に救いたかったのは、美しいクレアではなかったのか?生きているクレアに会いたかったのだよ、きっと。なんてね。
 「過去が現在に通じているのなら、逆に過去にメッセージを送ることはできないのか」ダグは、過去監視装置のスタッフを問いつめます。なんと、これができるのです。ダグは、過去の自分に手紙を書いて送りました。しかし、過去のダグは、机の上のメモを見ない。ダグの同僚がメモを見て、捜査に繰り出してしまう。このあたりの展開がにくいねえ。一筋縄では行かせないんです。

 同僚は、ダグのメモのせいで死に追いやられてしまう。
 「自分が過去に行くしかない!」
 ほんとかよ!?
 「なるべく質量を軽くするんだ」とタイムトラベルの装置に入る前に、服を脱がされるダグ。おまえはターミネーターか?
 ここなんです、驚くべき展開は。ついにダグ捜査官は過去に行ってしまうのです。これは完全にSFの展開です。サスペンス・アクションの領域ではない。掟破りの越境行為なのだ。このようなジャンルに縛られない展開は、好きだなあ。
 考えてみれば、543人がいきなり爆死するというすべりだしも異例です。そして543人を死に追いやった犯人を捕まえるより、543人を救う方がサスペンスフルだしカタルシスも大きいのです。最初に543人が爆発に巻き込まれた段階で、何かあると思うべきでした。
 「フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996)」も、最初はアクション映画かと思っていたら、途中からゾンビが出てきてホラーになり、びっくりしました。今回は、SFにチェンジするというのではなく、サスペンスにSF的なギミックを取り入れたという感じでした。

 それにしても、こうやってジャンルの浸食作用が起きると、予想外のことが何でもできてしまいます。007が超能力をもち、宇宙人と闘う映画がつくられるかもしれない(荒唐無稽が過ぎますか?)。やっぱり映画は、先行情報をカットして見たいですね。何が起こるか、楽しみが激増します。
 
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Last updated  February 24, 2008 08:13:40 AM
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