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テーマ:DVD映画鑑賞(14213)
カテゴリ:サスペンス映画
この映画も、ヒッチコックの「名場面」満載だ。 もちろん、「特撮』名場面も。 たとえば、雨のアムステルダム(っていう映画があったな)、平和会議の会場前で殺人事件が起こる。びっしりと群衆が埋まり、ひしめき合う傘の中を犯人が逃げ惑うシーン。 それから、背景にミニチュアを使った風車が画面の奥から手前へと並ぶシーン、など。 どれも映画的、映像的な快感を味わえる。 そんな中でも、とりわけ感動的だったのが、クライマックスの飛行機のシーンだ。 スクリーンに空路を行く飛行機が登場する。 とても重量感がある飛行機のボディ。だが、よーく見るとその屋根から上方に向かって線が見える。 そうなんだ、この飛行機はピアノ線か何かで吊ってあるんだー。 つまりこれは実物の飛行機ではなく、模型なんだとわかる。 模型だとわかったあたりで、カメラがずーっと飛行機の機体から窓へと寄っていく。すると、カメラが窓ガラスをくぐり抜けたような印象で、なんと機内のシーンが現れる。乗客らが語り合っている。 もちろん、ピアノ線で吊っている模型の中に、役者さん達が乗り合わせていたわけではない。 模型は模型、客席のセットはセットで別物だ。 もし、線で吊ってあることに気づかず、実物の飛行機を使っていると思った人は、カメラが機外から窓ガラスを通り越して機内へと進入したと素直に受け取ったかもしれない。 現実には、そんなふうにカメラが、外の空間から飛行機内の空間へと一気に入り込むことなどはできはしない。 そうであっても、あり得ないことが現実に起こったと信じたくなるようなスムーズなシーンの切り替えだった。 さらに、このあと、飛行機は、地上からの砲撃を受け海に墜落する。 ここでも信じられない魔法のシーンが出現する。 操縦席の風防フロントガラスから見る見るうちに海面に迫る様子が見える。これはスクリーンプロセスで、フロントガラスの前に海面の映像を映し出していたのだ、とわかる。 そして、いよいよ操縦席が海面(の映像)に突入したと思った瞬間に、風防ガラスがわれて、飛行機に大量の水が一気に浸入してくるのだ。 風防ガラスの前に見えていたのは映像ではなかったのか。 それなのに、あたかも本当の海に突進していったかのように、なぜ風防ガラスを破壊して水が流れ込んできたのか。 一体どうやって撮ったのだ? 答は「定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー(晶文社)』にある。 『ヒッチコックに進路を取れ 山田宏一・和田誠(草思社)』にもある。 映画 ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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