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テーマ:DVD映画鑑賞(14213)
カテゴリ:マカロニウエスタン
映画を見る前から、「続荒野の用心棒」が、いかにかっこいい映画かについては知っていました。先に見ていた2人の友達(同じ小学校の数少ない映画小僧たち)から、何度も繰り返し見所を聞いていました。やつらがテンションを上げて喋るのは、きまって二つのシーンについてでした。
そのように「おもしろい」「すばらしい」との先行情報があると、期待が過剰になってしまいます。そして、実際に見ると意外につまらないと感じることがあるものです。スクリーンで表現できることには限りがありますが、イマジネーションはどこまでも広がるからです。例えば「荒野の用心棒(1964)」は、マカロニウエスタン・ブームの火付け役として評判の高い映画でした。もう映画館に行く前の晩から嬉しくて興奮して、ストーリーやらキャラクターやらを勝手に頭に描いていました。こんな場面やあんな場面があるんじゃないか。けれど、見てみたらそんな場面は出てこない(当たり前)。ちょっとがっかりしたりして。 けれど、「続-」は、レッドゾーンに振り切れそうな期待をも裏切らない、とびきりかっこいいシーンを堪能できました。 脳内フィルムに複写され、何度も脳内スクリーンに映し出されてきた件の二つのシーン、これらについては、“モンスターシーン”と呼びたいと思います。 冒頭、主人公ジャンゴは、どこまでも続くぬかるみの道を、棺桶を引きずりながら登場します。時代はアメリカ南北戦争後、勝ち組北軍の制服を着たジャンゴが、なぜ重そうに棺桶を引っ張って歩いているのか。映画の流れとして、観客にそう思わせたいでしょう。固唾を飲んで見守る観客席の大人たちは知らないんだろうな。しかし、見ているボクは、すでにその中身を知っているのです。密かに優越感を味わっていたりして。嫌味な子供だね。早く、その場面が見たい。大人達の驚く顔も見たいぞ。 一帯を仕切る南軍くずれのジャクソン大佐にケンカを売ったジャンゴは、その一味40人を迎え撃つことになる。多勢に無勢、にもかかわらず不敵に余裕を見せるジャンゴ。押し寄せる赤覆面の集団を向こうに回し、ジャンゴは棺桶の蓋を開けた。そこから取り出したのは新兵器、機関銃だ!ダダダダダ・・・・。シングルアクションのリボルバー拳銃かライフル銃の時代に、1度に150発の弾丸を連射する機関銃が出現したのだ。その衝撃やいかに。 棺桶から飛び出す機関銃、なんという意外性。観客は大喜びです。こういった外連見たっぷりの演出は、マカロニウエスタンが得意とするところ。本場アメリカの正当ウエスタンにはなかったものです。 これが一つめのモンスターシーン。映画小僧の脳裏にしっかりと刻み込まれた超かっこいい場面です。 つぎなるモンスターシーンは、いよいよ映画のクライマックス。ジャンゴは、ジャクソン大佐一味につかまり、マカロニウエスタン名物の“残酷リンチ”を受けます。凄腕、早撃ちのジャンゴを無力化しようと、両手を潰すのです。銃床でガンガン打ち据えられるだけでなく、何頭もの馬に踏みつけさせるまでしてしまう。 もう、銃を握ることができないジャンゴ。しかし、命の恩人マリアに銃弾を浴びせたジャクソン大佐を許すわけにはいかない。「ジャクソンに言え。墓場で俺が待っている」ジャンゴに勝算はあるのか。どうやって銃を撃つつもりなのか。 墓場で、引き金を囲むトリガーガードを歯ではずそうとするジャンゴ。ようやくはずれる。さらに、十字架に拳銃を引っかけようとする。引き金を剥き出しにして、十字架に引っ掛けて拳銃を撃とうとするのか。しかし、両手が使えないので、うまく引っ掛からない。何度も取り落として拾い上げる、その繰り返し。そこへ現れるジャクソン大佐一味。 ジャクソン大佐「最後のお祈りか、ジャンゴ。じゃあ、私が手伝ってやろう」言いながらジャクソンは、ライフルをぶっ放す。十字架を盾にして弾丸をよけるジャンゴ。「父と子と、聖霊の御名において」 その瞬間ジャンゴの声が響く「土に還るべし」。火を噴くジャンゴの拳銃、ドギューン、ドギューン・・・・。これが噂のジャンゴ必殺十字架撃ちだ!一気に六人の敵を倒してしまった。拳銃を何度も落としていたのはフェイントをかけていたのか、ジャクソン大佐一味と観客に。 これもまた、トラウマを起こしそうなほどあくが強いガンアクションです。 これら永遠不滅の二つのモンスターシーンを繋ぐストーリーで、ジャンゴはメキシコ人ウーゴ将軍一味と金を強奪します。なんだ、ジャンゴはただの泥棒か。それに成功すると、ジャンゴは「おれの分け前をくれ」としつこく迫る。せこいぞ、ジャンゴ。将軍が承知しないと、こっそり金を持ち出して逃亡。機関銃の代わりに、今度は金を棺桶に詰めて馬車ですたこらさっさ。けれど、底なし沼の淵でうっかり銃を発砲させてしまう。驚いた馬が暴れ、荷台の棺桶が転がり落ち、底なし沼へ。金の入った棺桶を諦められず、追いかけ、底なし沼にはまり込むジャンゴ。あわや底なし沼に吸い込まれるというところで、マリアに助けられる。その直後に、マリアはウーゴ将軍一味に撃たれる。「ジャンゴは棺桶に葬って、生まれ変わるんだ」「できるなら、俺とやり直そう」ジャンゴは、瀕死のマリアに呼びかける。 なんだこのジャンゴは。スクリーンに登場してからしばらくは、ひたすらクールなガンマンだったはず。「とかくメダカは群れたがる。メダカは死ぬだけだ」と、あっという間に悪党5人を撃ち殺したジャンゴ。勝ち組の南軍を鼻にかけるジャクソンに「戦争は終わった。いつまでこだわっている」と言い放ち、取り囲んだ悪党どもを、やはり瞬時に撃ち殺したジャンゴ。あのニヒルな男はどこへ。情けないぞ、ジャンゴ。 孤独なガンマン、ジャンゴのヒーロー性ばかりでなく、人間的な部分を描いてドラマに深みが出たでしょうか。けれども当方は、スチーブン・セガールのような完全無欠、無敵のヒーローが好みなもので・・・。 人気blogランキングに参加中。クリックしてね。ご協力、よろしくお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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