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May 18, 2008
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カテゴリ:ドラマ
 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のシリーズ(1985~1990)では、タイムマシンで時間を遡り、過去の一点を変えることにより、現在がバラ色になったり、あるいは暗転したりします。
 現実には、映画のように過去に戻って、そこを変えるなんてことはできやしません。けれど過去を悔やみ、「あのときこうだったら、今はもっと別の、よい人生を生きているだろうな」と、脳内BTTFをすることはままあります。
 
 “バタフライ・エフェクト” とは、「蝶が羽ばたいた結果、地球の裏側では竜巻が起きる」という意味のカオス理論だとのこと。「初期条件のごく小さな差が、将来的に大きな違いを生じ、予測が困難化する現象」だそうです。
 この理屈によると、過去の一点を変えることによって、現在が全面的に好転するわけではないのです。一点を変えたことが波及して、思いもよらない様々な変化が起きてしまいます。そうなると、「BTTF」のように、過去のできごとを変えることによって理想的な現在をもたらすなんて、できないのです。

 映画「バタフライ・エフェクト」の主人公エヴァンは、タイムマシンを使わなくても、現在と過去を行き来することができます。超能力者なのです。あるとき、突発的にその力が発揮されて過去に戻り、ある一点を変えます。そして現在に戻ったら、状況が好転している、ように見えたのだけれども、すべてにおいてよいわけではなかった。よく変わったことの影響で、ほかに大変困った部分も出てきてしまった。
 エヴァンは、悪い部分をなくそうと、また過去に戻って修正を試みます。確かに現在は変わるのだけれども、何度やってもすべてがよくなるわけではない。状況に変化があっても、それは自分にとってとんでもない影響を及ぼすことがあるのです。そこは、全然思いもよりません。

 古典物理学の世界では、一定の法則の下に、これから起きることはすべて決まっていると考えられてきました。しかし、“不確定性原理”の考え方では、未来は不確定であり、神であっても未来を見通すことはできない、結末は確率的にしか決定されないとされています。
 
 「BTTF」は、古典物理学の世界のお話で、「バタフライ・エフェクト」は“不確定性原理”に基づくのでしょうか。

 エヴァンが過去に飛び、修正しようとするのは、幼なじみのケイリーを過酷な家庭環境から救い出し、幸せになってもらいたいから。しかし、何度過去を修正しても、愛するケイリーと自分の組み合わせが幸せになる現在は出現しません。時間の流れは一点に支配されていないので、様々な予期せぬできごとが起こってしまうからです。
 今まで、過去の時間をいじるという物語では、「BTTF」のようなハッピーエンドしか知りません。だから、「バタフライ・エフェクト」はどうなってしまうのか、予測がつかないのです。
 結局、エヴァンは、ケイリーのために一大決心をします。それは……。

 古典物理学の世界の考え方は、一定の“運命”に支配されていて変えられないという見方です。それに反して“不確定性原理”は、運命なんてものはない、つまり未来は決まっていないのだから、変えられるという見方ができます。だけれども、エヴァンとケイリーとの組み合わせは、どうしてもうまくいきません。というのは、そういう“運命”みたいな気がしますが。

 「バタフライ・エフェクト」が、とってもおもしろかったので、即座に「バタフライ・エフェクト2」を見ました。こちらはエヴァンとケイリーのお話ではなくて、ニックとジュリーが登場します。そして、ニックがエヴァンと同じ能力を備えています。
 「2」の方は、「1」ほどは過去に飛ばない。現在の話が中心になっています。そのあたりが、同じアイデアでも、趣向を変えてあるので楽しめました。そして、ラスト、やはり、ニックの思いが叶うわけではないのだけれど・・・。

 「過去のできごと変えられたら、今はもっと別の、よい人生を生きているだろうな」と考えても、そう単純なものではなさそうです。「あのときこう」することができても、そこからはまた違う問題が生まれていたのかもしれないのです。
生きていくということは、どう転んでも、いいことばかりがあるわけではないのでしょう。

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Last updated  May 18, 2008 08:59:05 AM
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