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September 21, 2008
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カテゴリ:ホラー映画
 「マタンゴ」この語感からして、何やら不気味です。
 “マタンゴ”は、放射能に汚染されたきのこです。
 “マタンゴ”の恐さとは、“マタンゴ”を食べた人が、みんな“マタンゴ”になってしまうことです。

 無人島に漂着した男5人女2人。島には何も食べ物がない。「喰えば“マタンゴ”、でも食べずにはいられない」これは何かに似ている。「食えばメタボ、でも喰わずにはいられない」
 メタボも“マタンゴ”も恐い。メタボは、生活習慣病から動脈硬化を引き起こすことがあります。それに対して、“マタンゴ”は、食べた人をきのこ人間にしてしまうのです。
 “マタンゴ”を食べてしまうのは、究極の飢餓状態だから。逆にメタボになるほど食べ過ぎるのは、究極の飽食状態からです。困ったもんだ。

 映画が公開された当時、残念ながら見に行くことはかないませんでした。東宝特撮であること、そして不気味なモンスター映画であることから、とてもとても興味がありました。けれど、子供だったので、親がその気にならなければ見に行くことはできません。
 当時の邦画は、二本立てでした。公開されたときのもう一本の映画は、加山雄三の「ハワイの若大将(1963)」。脳天気な若大将と不気味な「マタンゴ」の組み合わせに、観客はどう反応したのでしょう。
 映画は見られなかったのですが、「マタンゴ」のマンガを読みました、床屋で待っているときに。

 このマンガは恐かった。
 男女のグループの一人(男)が、無人島で空腹のあまりマタンゴを食べてしまう。すると、発疹が出て、顔が変形して、体つきが変わってきて、きのこ人間になってしまう。
 他の男女はその様子を見て、恐れおののく。しかし、耐え難い空腹が襲ってくる。マタンゴを食べれば、飢えがしのげる。しかも、マタンゴは美味だという。この誘惑に勝てるのか。ひとり、またひとりメンバーは、マタンゴを食べてきのこ人間になっていく。グループの美女が、思わずマタンゴに手を伸ばす。「やめろ!」とはたきおとす主人公の男。だが、美女も、いつのまにかマタンゴに・・・・。
 多分そんな展開だったと思います。あるいは自分の脳内スクリーンが、勝手につくってしまった絵なのかもしれませんが。
 確実に覚えているのは、ラストシーンです。「マタンゴ」は、主人公の回想によって語られました。話を終えて主人公が振り返ったとき……。この終わり方は、子供心にとてもショッキングでした。
 その印象が強かった。だから、「マタンゴ」がビデオ化されて、初めて映画を見たときには、ちょっとちがうなあと思いました。マンガの方が恐かった。それは、幼い頃に読んだからでしょうか。ラストも、映画も同じ終わり方なのに、マンガのような衝撃はありませんでした。

 今回、見直してみて、映画の方は、男女7人の葛藤に力が入れられています。昨日までは仲良しグループだったのに、極限状態になるとエゴが丸出しになる人間の恐さよ。だから、恐さが、マタンゴに集中できなかったのかもしれません。

 マタンゴそのものの造形はきのこですが、きのこ人間と化したマタンゴは、きのこというよりカリフラワーかブロッコリーみたい。ヴィジュアル的に、比類なきモンスターです。 
 そしてマタンゴの声は、なんとバルタン星人の声と同じ。これは、東宝特撮の「妖星ゴラス(1962)」に、科学特捜隊のジェットビートルが登場したようなものです。東宝特撮と「ウルトラマン」の強い関連性を感じます。

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Last updated  September 21, 2008 06:59:09 AM
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