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November 9, 2008
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カテゴリ:ホラー映画
 ハリウッドにもいろいろと台所事情があるようで、ヨーロッパやアジアでヒットした映画のリメイクが結構頻繁に出てきますね。
 ボクは、性分として、オリジナルを見れば、リメイクも見なければ気が済みません。そんな中で、リメイクされることによって、面白くなる映画もありますが、オリジナルの方がよかったと感じるものも少なくありません。きっと、ヒットしたオリジナルは、それだけのパワーがあったのでしょう。
 この「アイズ」も、イギリス、香港、タイの合作「the EYE【アイ】(2002)」のリメイクです。角膜手術を受けた若い女性が、目が見えるようになると、死神や霊などが見えるようになってしまうと言うお話です。角膜のドナーが霊能力者だったのです。

 これは元ネタがあると思います。手塚治虫の「ブラックジャック」の一話である「春一番」です。このお話はホラーではありません。けど、若い女性が、角膜移植手術により、妙な姿が見えるようになる。それは、角膜のドナーが衝撃的な場面に出くわし、ある男の姿が角膜に焼き付いたのでした。
 「春一番」は映画になっています。大林宣彦監督の「瞳の中の訪問者(1977)」です。この映画は、とても不入りで、一週間で打ち切られました。ボクが見に行こうと思ったときには、すでに終わっていた。だから、後になって名画座で見ました。確か高田馬場パール座で、マンガ原作フェアだったと思いますが、薬師丸ひろ子主演、相米慎二監督の「翔んだカップル(1980)」との二本立てでした。ボクは、「瞳の中の訪問者」も「翔んだカップル」も、とても印象深い映画でした。

 話がそれました。
 「the EYE【アイ】」は、角膜移植により、主人公の女性が、普通なら見えないものが見えてしまい、恐怖の体験をするところが受けたのでしょう。
 ボク自身は、すでに「春一番」を読み、「瞳の中の訪問者」を見ていたので、角膜移植に伴う異変というアイデアには新鮮さを感じませんでした。そして、ホラーとしても、特段に恐いとは思わなかった。

 今回、リメイクを見ないではいられないという悲しい性に従い、「アイズ」を見ました。実際は、楽しんでいるのですが。
 この「アイズ」は、オリジナルの「the EYE【アイ】」よりよくなっている例ではないかと思います。
 オリジナルとリメイクは、ほぼ同じような展開をします。両方共に、主人公の女性が、鏡で見えている自分の顔と本当の自分の顔が異なると分かるシーンがあります。この場面は、「アイズ」の方が圧倒的に恐い。ゾッとします。意図的にオリジナルより恐怖感を増幅した演出を試みたのではないでしょうか。

 両作における違いは、まず「the EYE【アイ】」において、ドナーが不本意な死に方をしたために、霊能力が角膜を通して移植された女性に写ってしまった。ドナーの霊を慰めなければ、というふうに話が進みます。それに対して「アイズ」は、細胞記憶という科学的な解釈が出てきます。このあたりは、アジアとアメリカの考え方のちがいでしょうか。
 さらにそれより重要な違いがあります。両作とも、主人公の女性は、事故による大惨事を予知します。「the EYE【アイ】」では、事故の直前に予知したために、人々を救うことができません。しかし、「アイズ」は、角膜を移植した直後から大惨事の断片が見え、ヒントになる文字まで出てきます。そういったいきさつから、こちらの主人公は、気付くのが早く、事故の直前ではありますが、人々を避難させることができます。
 この事故により、主人公は、再び視力を失ってしまいます。しかし、見えていた期間の経験を糧に、希望を持って生きていこうとします。ここでの印象は、大惨事を防いだか、防がなかったかで大きく違ってきます。
 大惨事という悲劇を乗り越えて成長したとするべきか、大惨事から人を救うという大きな役割を果たして達成感を味わったとすべきか。
 いずれにしても、見ることを貴重な体験としながらも、主人公は、また目を閉ざしてしまうわけです。見えるということは、見たくないものまで認識してしまいます。それでもボクたちは、機械などを使って、自分の力以上に見ようとしてしまうのですが。

 共通するのは、目に特徴がある女優さんを主役に据えていること。アンジェリカ・リーもジェシカ・アルバも目が大きい。日本でつくるとしたら、主演は柴咲コウでしょうか。

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Last updated  November 9, 2008 05:01:26 PM
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