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November 30, 2008
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カテゴリ:ホラー映画
 嵐の中を車がとある田舎のホテルに到着します。あれれ、原作と違うな。小説版はニューヨークのホテルの話なのですが、映画版は人里離れたようなリゾート地のホテルの方が絵的には恐いと判断したのでしょうか。と思っていると、これは主人公マイクの仕事や人となりを紹介するエピソードでした。この映画のタイトルである1408号室は、このホテルにはありません。
マイクの仕事は、幽霊の出るという噂のあるホテルなどを取材して怪奇・恐怖レポートの本を書くこと。しかし、この田舎のホテルで一晩すごしても、奇怪な出来事は何も起こりません。怪奇現象を専門とするマイクですが、実際に霊などにお目にかかったことはないのです。
このあと、マイクはニューヨークに向かい、1408号室に宿泊します。
冒頭のホテルについては、原作の方では軽くふれられたにすぎない内容ですが、映画では、割と時間をさいて紹介しています。何せ舞台となるのが、1408号室という閉ざされた場所ですから、小説には登場しない場面を加えて、ダイナミックな映像を見せなければなりません。
このほかにも、小説には登場しないものとして、マイクがサーフィンをしていておぼれそうになります。また、映画では、マイクの妻や娘がストーリーに深く関わってきます。

 さて、マイクは、ニューヨーク・ドルフィン・ホテルで、問題の1408号室に宿泊しようとします。しかし、支配人のオリンから、強行に止められます。1408号室では、不審な死に方をした者が大勢いるとのこと。それでも、マイクは、1408号室に踏み込みます。

 1408号室に入ってからは、当然マイクの一人芝居が多くなります。けれど、マイクはテープレコーダーを持っています。いつも彼は、取材したことを録音メモに残しているのです。これは、原作と同じ。そのおかげで、一人芝居でもセリフを言い続けることが不自然ではありません。

 1408号室では、誰もいないはずなのに、ベットカバーがめくられていたり、トイレットペーパー後が三角に折られていたりします。徐々に徐々に怪奇現象はエスカレートし、ついにさすがのマイクも耐えられなくなって部屋から脱出を試みますが、閉じ込められてしまい、出られません。
 オリンが言うには、「あの部屋にいるのは霊的な存在ではない」とのこと。つまり、1408号室で死んだ誰かの霊が祟っているというような生やさしい(?)ものではないのです。小説も映画も、怪奇現象の原因や正体に迫るような展開にはなりません。見ているこちらも「なぜ?」「どうして?」という興味はもたず、ただひたすら「マイクはどうなっちゃうのだ?」と見守るだけです。
 
 「どうなる?」マイクは、果たして助かるのか、あるいはほかの宿泊客と同じように死んでしまうのか。
 あの手この手でマイクを攻め立てる1408号室。突然ラジオが鳴ったり、電源コードを抜いても鳴り続けたりするのは恐い。壁が血を流すのもホラーです。でも、部屋の中を大洪水が襲いおぼれそうになるのはどうなのだろう。ちょっと怪奇な恐怖とは種類が違うような気がする。
 と思っていたら、マイクがサーフィンをしていておぼれた場面につながります。目を覚ましたマイクは、1408号室のできごとは夢だったのか、と安心するのですが、その一方では腑に落ちない。見ている方も、きっとどこかで1408号室に引き戻されるのだろうと思っていると案の定戻りました。こういう場合、どんな戻り方をするかが重要です。そうしたら、期待に応えて、予想外な戻り方をしてくれました。
 さあ、また1408号室です。1408号室にこれだけ苛められると、さらに酷い死に方に到達するのは難しいのではないか。しかし、生きて解決としたときも、生半可な方法ではトーンダウンしてしまいます。
 ここの盛り上げ方が、映画の決め手でしたね。原作からアイデアをもらっていますが、映画だから、もっと派手な絵でした。満足度がすっごく高いかというと、そこまではいきませんでしたが。
 
 主演はジョン・キューザック。最近彼の「“アイデンティティー”(2003)」を見たばかりだったので、1408号室で鏡を覗くと、違う顔が映るのではないかと思ってしまいました。

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Last updated  November 30, 2008 06:44:08 AM
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