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テーマ:DVD映画鑑賞(14214)
カテゴリ:ホラー映画
卒業シーズンだったことがビデオ選択に影響したのでしょうか。レンタルビデオ屋さんで何を見ようか物色しているときに、リメイク版「プロムナイト(2008)」が目に止まりました。 「(オリジナル版の)プロムナイトって見たよな。リンダ・ブレアが主演していた映画」とオリジナル版を手に取りました。そうしたら主演女優は、リンダ・ブレアじゃなくてジェイミー・リー・カーティス。
あれ?リンダ・ブレアの方は……「ヘルナイト(1981)」に出演していたのでした。「プロムナイト」と「ヘルナイト」がごっちゃになってしまった訳は、あの頃量産されたスラッシャー(惨殺)系の映画であること、その中で単純にタイトルの「ナイト」が共通していたこと。さらには、「ヘルナイト」が新入生歓迎の催しであり「プロムナイト」が卒業パーティと、両方が学園モノだったことが考えられます。 「プロムナイト」と紛らわしいタイトルをもうひとつ上げると「フライトナイト(1985)」。こちらは吸血鬼です。さらに、「ヘルナイト」は、うっかりするとオカルト系の「ヘルハウス(1973)」と混同します。 で、分かったことは、なんと「プロムナイト」は見ていない。そこで、この機会にひとりプロムナイト大会を開いて、新旧を見比べてみることにしました。 ○オリジナル版「プロムナイト」について。 4人の子供達が、廃校でかくれんぼをしていました。一人の女の子ロビンがそこに加わろうとします。けれど4人の子供達は、部外者の侵入に腹を立てるのです。そしてロビンを激しく問いつめたために、彼女は2階から転落死してしまいました。 その事件について、4人は決して口外しないことを約束します。犯人は、廃校付近にいた変質者がやったものとされ、その男は精神病院送りとなります。が、その後脱走。 6年後、ロビンの姉キムが、4人の子供達とともに高校を卒業する時期を迎えました。卒業パーティのプロム会場で、4人は次々と惨殺されていきます。犯人は、一体誰なのか。 この「プロムナイト」のDVDは、残念なことに画質が荒いし、今時スタンダードサイズだし。 展開としては、かつてロビンが殺されて、その原因となった4人が次々と惨殺されているのだから、ロビンの家族が復讐のために殺人を繰り広げるというのは分かり切った話です。けど、この映画は、変質者が脱走したり、ちょっと怪しい用務員を出したりと、あまり意味のないフェイントをかけてきます。変質者は、警察署で「脱走した」「捕まった」との報告だけで、ついに画面に登場しませんでした。 そのせいで、恐さが半減します。殺戮の因果関係が明確になっていないので、淡々と無関係に4人が殺されていき、襲われる側の恐怖がありません。狙われた4人が、ロビンが死んだことをその後も引きずっていたり、一人一人と殺されていく段階で次は自分かと怯えたりする描写があれば、多少なりとも恐怖が高まったのに。 まあそれでも、家族のうちの誰が犯人かという興味は残りました。そんな中で、プロムの最中に、突然父親がいなくなります。「パパはどこへいっちゃったの?」というセリフがありますが、本当にそれっきり画面に登場しないのです。普通は、犯人がわかった段階で、再登場するものですが。撮影中に期間契約が切れたのでしょうか。 父親役は、レスリー・ニールセン、あの「裸の銃を持つ男(1988)」などの。彼が出てくると、「フライング・ハイ(1980)」や「最‘狂’絶叫計画(2003)」といったパロディ映画かと思ってしまいます。 話はそれましたが、この犯人は、家族思いであり、無念を晴らすための犯行でした。だからそこには、この手の殺人鬼に不可欠な狂気=恐さはあまり見られません。 それと、絶叫クィーンといわれたジェイミー・リー・カーティスが襲われないのも、何のために彼女が出てきたのかよくわかりませんでした。 ○リメイク版「プロムナイト」について オリジナル版「プロムナイト」は、スラッシャー映画の嚆矢的な作品でした。だからまだ分野として未熟でした。学校を舞台にして、過去の因縁で殺人鬼に狙われる内容は、その後、「ラストサマー(1996)」「スクリーム(1997)」「ルール(1998)」あたりにつながっていきます。そういった後続を経て、リメイク版「プロムナイト」は、オリジナル版よりはソフィスティケイテッドされて戻ってきたといえるでしょう。 こちらは最初から犯人も狙われる相手もピンポイントで確定しています。犯人捜しはありません。殺人鬼の狂気が前面に出され、狙われる相手は堂々の主役ドナです。 多分、オリジナル版で不遇だった変質者をリメイク版では恐怖の殺人鬼に抜擢したのでしょう。それと、主演女優が襲われてこそ恐怖映画の本道であると理解できたのでしょう。 かつてドナは、高校教師にストーカーとしてまとわりつかれていた。そして、ついに高校教師はドナの家まで乗り込み、目の前で家族を惨殺されてしまいます。ドナは、そのことがトラウマになってしまっています。 けど、ちょっと腑に落ちないことがあります。ドナは、主役らしく、美しく、アイヴィー・リーグの名門ブラウン大学に合格するほどの才媛です。ところがプロムの女王には候補として上がっていない。何か不自然ではないでしょうか。オリジナル版では、ジェイミー・リー・カーティスのキムが、プロムの女王になっていたのに。 それから、トラウマがあまり効果的ではありません。もしかしたらトラウマのことは忘れてしまったのではないかと思うほど、話題にのぼりませんでした。最後の方で、トラウマによって幻覚を見ますが、このトラウマをもっとストーリーの中で効果的に使えば、ドナの恐怖感をもりあげることができたのに。 以上、ひとりプロムナイト大会でした。しかし、オリジナル版はシリーズになっているのです。「プロムナイト5(1994)」まであります。ということは、シリーズ全作を見るために、ひとりプロムナイト大会2を開催する必要があるのかな。とても興味はありますが、果たして2から5まで耐えられるかどうか、不安があります。 人気blogランキングに参加中。クリックしてね。ご協力、よろしくお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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