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テーマ:DVD映画鑑賞(14214)
カテゴリ:ホラー映画
前回「プロムナイト(1980)」を書いたときに、「フライトナイト」に軽くふれたら、それがきっかけとなり、無性に見たくなってしまいました。
この映画を封切りで見たときには、かなり気に入りました。今回20数年ぶりに見直してみると、主人公が高校生なので、ジュブナイル的な雰囲気の分かりやすい内容でした。コメディタッチでありながら、しめるところはホラーでしめるという展開で、楽しめます。 この映画は、ヴァンパイアのルールをめぐって進んでいきます。ヴァンパイアは、最強のモンスターといわれる反面、十字架や日光、ニンニクに弱いなど、非常にきちんとしたきまりごとを備えています。ここがヴァンパイアのいいところだね。 同じアンデッド(不死者)仲間に、ゾンビがいます。ゾンビにもルールがあって、首を切断されるか頭部を破壊されれば活動を停止します。けれども、その二つは、おいそれと簡単にできることじゃない。 それにくらべてヴァンパイアについては、家中にニンニクをぶらさげて侵入を防いだり、十字架をつきつけて退散させたりすることなど、そんなに難しいことじゃありません。だれにでもできることです。 狡猾で恐ろしいヴァンパイアですが、光や臭いに敏感なところは、とてもナイーブで親しみがもてます。 ゾンビは、頭をぶっ飛ばされない限り。集団であとからあとから、つぎからつぎへと襲ってきて、無骨なことこの上ありません。 十字架や太陽の光が苦手というルールのほかにも、この映画では、ヴァンパイアが招かれない限り人の家に立ち入ることはできないとか鏡に映らないなどが紹介されます。 私は、「フライトナイト」に影響されて、ヴァンパイアの小説を書きました。そのとき、ヴァンパイアのルールをしっかり押さえておこうと思って、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」を読みました。ヴァンパイア小説の元祖だから、ルールについて網羅されていると考えたのですね。けれど、映画などで見るルールがすべて書かれているわけではありませんでした。どうやら後につくられた、映画オリジナルのルールがいくつもあるようです。 「フライトナイト」では、ヴァンパイアのジェリーに向かってヴァンパイア・ハンターのビンセントが十字架をつきつけます。しかしジェリーは「十字架の力を信じていない者がつきつけても、威力はない」とか言って、十字架を握りつぶしてしまいます。この信じていない者の十字架は恐くないという設定は、「フライトナイト」のオリジナルではないでしょうか。一定のルールがありながら、それを破る新たな解釈は、意外性があって面白い。 ヴァンパイア・ハンターも、ヴァンパイアの弱点のひとつであり、吸血鬼映画には欠かすことができません。元祖はもちろん「吸血鬼ドラキュラ」の小説から登場しているヴァン・ヘルシング教授です。ヴァン・ヘルシングなどは、ヴァンパイア・ハンターという勇ましい呼称でありながら、体力勝負ではなく、知力で吸血鬼を追いつめるところがいいですね。ヴァンパイアをめぐるルールを研究し、苦手とするものを組み合わせ、機転をきかして闘う様子がかっこいい。 「フライトナイト」のピーター・ビンセントは、ホラー映画でヴァンパイア・ハンターの役をやっており、深夜のホラー映画番組のホストでもあります。映画の役から得た知識はありますが、本物のヴァンパイア・ハンターではありません。ヴァンパイアを見つけた高校生のチャーリーたちがテレビでビンセントを見て、助けを求めにいったのです。だから、ヴァンパイアのジェリーに十字架をつきつけて、簡単にしりぞけられてしまうという醜態をさらします。情けない。それでも、ついにヴァンパイア・ハンターとしての使命に目覚めて決起するところがかっこいい。 ヴァンパイアといえば、プロレスラー、フレッド・ブラッシーの代名詞でした。ブラッシーの得意技は噛みつき攻撃(技といえるかな?)。対戦相手の額に噛みついて、流血させます。そして自らは、口の周りを血の赤で染めるのです。まさにヴァンパイア。 そのブラッシーを敗ってWWA世界ヘビー級タイトルを奪ったのが、白覆面の魔王、ザ・デストロイヤーです。デストロイヤーの必殺技、足4の字固め。4の字固めは、ヴァンパイアのルールや弱点を想起させます。ブラッシーに勝ったこととは関係ありませんが。 4の字固めは、一度技にかかると解くことはできないといわれた恐ろしい技です。かけられた人はわかりますが、スネを攻められるので、すごく痛い。激痛です。しかし、4の字固めには、ルールというかきまりごと、弱点があります。仰向けの状態でかけられていた4の字固めをうつぶせにひっくり返すと、こんどはかけていた方が痛くなるのです。 デストロイヤーは、力道山やジャイアント馬場との死闘で、4の字固めを切り札としました。激痛に苦悶する力道山や馬場。観客は、ひっくり返せば、形勢を逆転できると知っています。4の字固めをかけられてギブアップするのか、それともひっくり返すことができるのか。その攻防が手に汗を握ります。これは、ヴァンパイアに血を吸われてしまうか、それとも誰もが知っているヴァンパイアの弱点、十字架や聖水でヴァンパイアを葬り去るのか、といったドキドキ、ワクワクの展開に似てないでしょうか? 「フライトナイト」はエンディングの曲がとても軽快です。一度聞いたらすぐに全曲口ずさめます。メロディだけですが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 12, 2009 06:55:46 AM
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