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テーマ:DVD映画鑑賞(14214)
カテゴリ:ホラー映画
モックバスター(模倣映画)ではない、メジャー作品の『ウルフマン』でござる。 と、最初に断るのもなんか変だが。 ウルフマンて、なんだか馴染めないんだよな。やっぱり狼男でしょう。 狼男は、世界三大モンスターである。由緒正しいのだ。 狼男の恐怖とは何か。 それは二面性であると思う。 三大モンスターの狼男以外の二大は、フランケンシュタインの怪物と吸血鬼ドラキュラである。 Fの怪物は、死体をつぎはぎした醜い外見とはうらはらに知性を秘めていたりする。ドラキュラは、夜の闇でしか活動できない。昼、日の光の下では生きていけない。 どうやらモンスターは二元論の存在らしい。 狼男の二元論は、ローレンス・タルボットと狼男の二つの顔をもっているのだ。 Fの怪物はFの怪物だし、ドラキュラはドラキュラである。一つの顔しかない。 二つの顔が狼男のセールスポイントだ。 二つの顔をもつローレンス・タルボットだが、当然望んで狼男に変身するのではない。だれが好き好んで獣になりたがるだろう。狼男になってしまえば理性は失われ、自分がコントロール不能となり、殺戮を繰り返す。不本意なことながら、自分のしでかしたことなのだ。ローレンスは、狼男に噛まれて変身すると分かってからは、自分自身におののくのだった。 これが狼男の第一の恐怖だ。 このローレンス・タルボットは、当然普段は決して凶暴粗暴な男ではない。ところが、狼男に変身してしまえば、手当り次第に鋭い牙で人に噛みつき、強靭な爪で引き裂くのだ。相手が誰であろうとおかまいなしだ。それは、ローレンスが親しくしている人、例えば恋人のグエンであっても識別はできない。グエンからすれば、あの優しいローレンスが残虐無比の狼男に変わってしまうのは、何ともやりきれない。この落差、正常な状態なら愛を語り合うのに、一旦狼男になってしまえば、理屈も哀願も通用せず、血の海に沈めてられてしまう。 これが第二の恐怖である。 この二つから、満月の夜が近づくにつれ、自分も他者も恐怖が高まっていくのだ。 しかしながら、『ウルフマン』のクライマックスは、父親狼男と息子狼男の対決だった。狼男本来の恐さは、あんまり生かされてなかったと思うぞ。父子も二元論だる。でも、こうなるとホラーというよりモンスター・アクションだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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