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January 15, 2011
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カテゴリ:サスペンス映画
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 ミステリは趣味じゃないけど、江戸川乱歩はとてもおもしろい。作品の怪奇幻想テイストに魂が震える。
 たとえば少年探偵団シリーズ。怪人二十面相は、単に変装の得意な怪盗の域に止まっていない。青銅の魔人、透明怪人、宇宙怪人、鉄人Q、電人Mなど、じつにお騒がせな異世界からの侵入者を演じてみせる。そのトリックも、リアリティのない説得力をもっていて虚構世界を堪能させてくれる。
 『陰獣』は乱歩の小説である。1928年に発表された。それを原作として、日本映画『江戸川乱歩の陰獣』(加藤泰監督)、フランス映画『陰獣(Injyu)』(バーベット・シュローダー監督)もつくられた。

 『乱歩の陰獣』は、かなり原作『陰獣』にそっている。
 『Injyu』は、基本的な設定は踏襲しながらも、変更がある。

 原作『陰獣』には、二人の作家が登場する。寒川光一郎と大江春泥だ。主人公寒川は本格派探偵小説を書き、春泥は変格派探偵小説の作家である。
 本格派は、「探偵型」であり、「ごく健全で、理智的な探偵の経路にのみ興味を持ち、犯罪者の心理などにはいっこう頓着しない作家」と説明されている。
 変格派は、「犯罪者型」という言い方もして、「犯罪ばかりに興味を持ち、たとえ推理的な探偵小説を書くにしても、犯人の残虐な心理を思うさま描かないでは満足しないような作家である」とのこと。

 つまり、両者は光と影、陰と陽だ。
 寒川は、常識的でまじめである。寒川は、作家春泥をその作風から忌み嫌っていた。そして、実業家夫人静子との邂逅をきっかけに、単に小説だけではなく、春泥の変態的、猟奇的な行動を知り、春泥が犯人と目される殺人事件に巻き込まれていく。
 最初は春泥に嫌悪感を抱いていた寒川だが、徐々に春泥的ワールド=ダークサイドにハマっていくのである。

 乱歩は、本格探偵小説の実力を備えながら、怪奇幻想、通俗探偵小説を生み出した。
 ぼくが読むのは、乱歩の非日常性、虚構性の強い作品だ。少年探偵団シリーズではない一般向けの作品では『人間豹』『猟奇の果て』『黄金仮面』などは、その世界に快く浸ることができた。
 しかし、世間一般からしたら、非日常性や虚構性の強い作品、及びその愛好者は異端視されることでしょう。
 松本清張みたいな社会派推理小説に対しては、世間の評価は高い。そういうのを読んでいると知的と評される。
 そういうことって、好みの基準が、自分にあるか世間にあるかのちがいにも思えるけどね。

 それはさておき、『陰獣』は、寒川と春泥の相反する二者の物語だ。
 『乱歩の陰獣』は、この原作の設定を踏襲している。
 しかし、『Injyu』は違うのだ。
 寒川に相当する登場人物はフランス人作家のアレックスである。アレックスは、最初から春泥に傾倒する作家なのである。とはいっても、常識はずれの嗜好や行動を見せるわけではない。寒川と同じノーマルサイドの人間として設定されている。なんだか中途半端じゃないの。
 アレックスは日本にやってきて、敬愛する春泥に会いたいと願うが叶わない。しかし、芸妓の玉緒とかかわるようになり、次第に怪しい世界に足を踏み入れ、事件に巻き込まれていく。

 『陰獣』と『Injyu』はいろいろとちがう部分がある。その中でも、つぎのちがいは大きいと思う。寒川は、自力で事件の真相解明に挑む。しかしながら、アレックスは、他人から真相を聞かされちゃうのだ
 
 『陰獣』の陰と陽は、変格と本格、変態と正常だった。
 じゃあ、『Injyu』の陰と陽って何なんだ。『陰獣』の二項目は『Injyu』も匂わせているが、そんなに強とは感じない。
 それは、単身日本に乗り込んできて翻弄されるアレックスの様子から、「西洋と東洋」だ!と思ったね。

 ぼくが見たかったのは、乱歩特有の非日常性とか虚構性だ。でも、その点では、『Injyu』は物足りなかった。
 それは、たとえば異常性欲の扱い方、描き方だろう。
 小説『陰獣』では、その時代には、SMなんて想像を絶するほどイヤらしく淫靡な世界、つまり非日常であり虚構の話だっただろうことが想像できた。
 『乱歩の陰獣』では、時代が進んで価値観が変化したことを考慮して、設定も変えてあった。SM愛好者の人間性に変更を加え、そこにイヤらしさ(非日常性、虚構性)を増幅させた。
 けれど、この21世紀という価値が多様化している中で、SMといったってそれほどインパクトないしね。
 
 フランス人からしてみれば、東洋、日本、京都、芸妓ってのが、今もってなお十分な非日常性、虚構性を備えているという話に思える。

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Last updated  January 16, 2011 08:01:55 AM
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