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July 3, 2011
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カテゴリ:ホラー映画


 フランケンシュタインの怪物は、見飽きない姿形をしている。
 そして、科学者フランケンシュタインも、じつに魅力的なキャラクターだ。

 フランケンシュタインというのは、怪物をつくった男の名である。
 ドラキュラは吸血鬼の名前だが、フランケンシュタインは怪物の名前ではない。
 この区別、知っている人は知っている。知らない人には、あいまいだけどどうでもいいこと。

 1930年代から40年代にかけて、ユニバーサルで8本のフランケンシュタイン映画がつくられた。このシリーズは、怪物のシリーズだ。フランケンシュタインとタイトルにありながら、ご本人が出てこない映画もある。
 50年代から70年代にかけて、今度はハマープロで新たにフランケンシュタイン映画がシリーズ化(6本)された。こちらは、科学者フランケンシュタインご本人のお話だ。怪物が登場しない映画もある。とりわけ、あの突き出た額と首のボルトが特徴的な怪物は出てこない。似たような人造人間の出ている映画が1本だけあることはある。

 ハマーホラーに、特徴的な怪物が出てこないのはどうしてか。あのフランケンシュタイン・モンスターのデザインは、ユニバーサル・オリジナルだからなのだ。

 ハマーホラーで科学者フランケンシュタイン男爵に扮するのは、ピーター・カッシングだ。カッシング=フランケンシュタインは、過剰な冷徹さを備え、自分の課題とすることを追究するためには、死体、生体を問わずあたかも機械の部品交換のように手足その他体の部位を付け替える。脳みそを一人の人間から別の人間に移し替えるのは、コンピューターのCPUやハードディスクを入れ替えるみたいだ。
 この人体パーツ取り扱い作業を通して、ハマーのフランケンシュタイン映画は、怪奇映画と呼ぶにふさわしい雰囲気を醸し出している。それはカッシング演じるフランケンシュタインが、恐れを知らない超クールな佇まいを見せつけるからだ。彼にとっては、神や理性より、または感情より、常にインテリジェンスが優先する。

 『フランケンシュタイン 恐怖の恐怖の生体実験』は、シリーズ中最も極悪なフランケンシュタインである。自分の研究のために、若いカップルの弱味に付け込み、強引に手伝いをさせる。
 そして、あろうことか、その女性をレイプしてしまうのだ。

 映画会社がシリーズを継続していく上では、観客に飽きられないようにさまざまな工夫が必要であろう。
 ゴジラ・シリーズだって、ただ1本だけ自力で空を飛んだことがある。
 だから、まあ中にはそういう映画もあったなあ、と受け止めている。
 しかし、フランケンシュタインのマニアックな性格は、自分の研究のためには手段を選ばないところにあったはず。
ただ単に欲望を制限しないのとは違うと思うな。

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Last updated  July 3, 2011 09:51:27 AM
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