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August 13, 2011
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カテゴリ:ホラー映画


 イギリス映画『ゾンビ襲来』だってさ。
 ハマー・プロの『吸血ゾンビ(1966)』じゃなくて?

 ゾンビは好きな分野じゃない。だから、単なる『ゾンビ襲来』だったら見なかっただろう。
 しかし、ピーター・カッシングとクリストファー・リーの二大怪奇スター、怪奇監督フレディ・フランシスが顔を揃える豪華版なのだから、ホラー愛好家としては見ないではいられない。

 映画の冒頭、ピーター・カッシングの後頭部が画面に映る。あれ、カッシングって、こんなに禿頭だったっけ?なんだか、ごそっと抜けちゃっている感じだ。しかし、のちにこのシーンの意味が分かるんだ。

 フランケンシュタイン博士、ヴァン・ヘルシング教授を当たり役とするカッシングは、今回もお得意の学者役である。
 カッシングは古い地層から発見した新たな原始人の骸骨を研究していた。角張ったしゃれこうべといい、この骸骨は巨体プレデターの骨格標本をイメージさせる。ふとしたことからプレデター骸骨の指に水がかかった。そうしたところ、今まで骨だったところに、なんと肉や皮が蘇ってきたのだ。

 そうか、こいつがやがて「ゾンビ」として襲ってくるんだな。一般のゾンビ映画とはちょっと違うが、死骸が生き返るんだから、「ゾンビ」といえないことはない。ゾンビの爛れ感より、巨体モンスターへの期待が高まるじゃないか。

 それで、またカッシングが後頭部を画面上に見せるのだが、ちゃんと毛に覆われている。なんなんだ?

 フランケンシュタインの怪物、吸血鬼ドラキュラ役でビッグネームとなったリーは、カッシングの異母弟である。彼は、精神科病院の院長を務めている。そこには、カッシングの妻が色情狂というか本当に患ってしまって入院していた。が、最近亡くなってしまった。
 異母弟リーは、カッシングの学者としての才能を妬んでいる。あろうことか、カッシングの研究室からプレデター原始人を盗み出してしまうのだ。そして、運搬途中に雨にうたれたプレデター原始人は、水分を吸収してゾンビとして蘇る。いよいよゾンビ来襲かと思うと、いずこかへ姿を消してしまう。
 
 カッシングは、この妻のことがあって、人間の内なる悪(病気)について根源的な研究をしていたのだ。なんだかよくわからないが。
 そして、カッシングの娘も、母と同じように奇行奇癖が表面化してくる。カッシングは、プレデターゾンビの血液から血清を作り出し、娘に注射するが・・・。

 そんな調子でプレデターゾンビは存在感が薄れたまま、ストーリーはどんどん進行していく。

 しかし、とりあえずタイトルに嘘はなかった。プレデターソンビはちゃんと役割意識をもって「ゾンビ襲来」しますぜ。宇宙人プレデターのような破壊力はない。ひっそりと、不気味に執念の再登場を果たす。

 そして、ラスト、またしてもあのカッシングの薄毛の映像が。

 とにもかくにも『ゾンビ襲来』は、映画のメインではない。
 それはそれとして、この映画、よくあるおぞましいゾンビ映画とはちがって、怪奇映画としての味わいがある一本だった。
 映画のタイトルで見過ごすことなく、カッシング、リー、フランシスの名前で選んで本当によかった。

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Last updated  March 31, 2012 06:58:37 AM
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