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カテゴリ:SF映画
『世界侵略:ロサンゼルス決戦(2011)』は、緊迫感のある映画だった。 登場人物を追うカメラが、ドキュメンタリータッチに揺れていた。戦場からの実況中継のようだった。 あっという間に異星人に攻撃され、壊滅状態の中でなんとか市民を救い出し、その上で反撃に転じないと全人類が虐殺されるという状況がハラハラ、ドキドキ感を生み出していた。 相手は異星人である。奇襲、無差別攻撃、話し合いは通じない。極悪非道な殺戮を繰り返すのみ。 つまり、地球人は闘うしか選択肢がないのである。 問答無用の戦闘状態とは、抗戦に正当性をもたせている。 これは、よく使われる手法である。 異星人は、地球人の生命など、虫けら同然だ。 しかし、地球人だって、相手が異星人ならぶっ殺しても、手足をもいでも平気なのだ。 異星人にとって、地球人の人権はない。 地球人にとっても、異星人に人権はない。 『世界侵略:ロサンゼルス決戦』は、展開がリアルである。そして、軍人を主人公とし、人、国、地球を守るための決死の闘いやそれを支える想いを描いていた。視点は、アメリカ軍にある。 それだけに、気持ち的についていけないものがあった。 戦争とは、敵の人権を度外視して行うものだ。敵を「悪」としてとらえれば、その時点から敵は人間とは見なされない。 例え、平常時には人権を認めていたとしても。などと考えてしまった。 『バトル・オブ・ロサンゼルス』は『世界侵略:ロサンゼルス決戦』のパチモンである。こちらは、ゆる~い映画だった。 『世界侵略:ロサンゼルス決戦』においては、破壊され阿鼻叫喚の地獄絵のようなロサンゼルスが舞台となっている。夥しい数の兵士や異星人が闘いを繰り広げる。 ガレキの中に半壊した車が行列をなし、人々は黒こげ死体となっている。 だが『バトル・オブ・ロサンゼルス』は、どこで戦闘が行われているのか不明なほど建物が残っている状態で、少数の兵士がウロウロしている。車の中で人々が死んでいるシーンも、とっても簡単に撮影してある。ストーリーの前後を知らずその場面だけ見た観客は、通行止めにあって進むことができない人たちが、疲れて居眠りしているようにも受け取れたのではないだろうか。 いよいよ主人公の兵士達が異星人の母船に乗り込む。しかし、不思議なほどに敵異星人は姿を見せない。その代わりに、巨大モンスターが襲ってくる。 ここらあたりはエンターテインメントしていて、拍手喝采である。 こういうゆる~い設定であるなら、な~んにも考えずに映画を楽しむことができる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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