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テーマ:DVD映画鑑賞(14214)
カテゴリ:ホラー映画
「フランケンシュタイン」マニアである。 あの額がせり出した人造人間の造形は、じつに見事だ。見飽きることがない。 また、タイトルロールのフランケンシュタインにしても、じつに魅力的だ。死体のパーツを継ぎ足して自らの手で新しい命を吹き込んでしまうのだ。元祖マッドサイエンティストとして、いきなり大仕事をやってのけたのだ。 タイトルに「フランケンシュタイン」とついている映画は、見ずにはいられない。 そうでなくても、「フランケンシュタイン」傾向の映画は、嗅ぎ分けて見る。 『獣人ゴリラ男』は、「フランケンシュタイン」の換骨奪胎版と呼ばれるにふさわしい映画だ。 あるマッドサイエンティストが、屈強なプロレスラーの肉体にチンパンジーやゴリラの脳髄を移植して、人間の寿命を延ばす研究をしていた、というお話。 なんて素敵な発想であることよ。 こんなにマッドサイエンティストと呼ばれるにふさわしい研究があるだろうか。 試行錯誤の結果、ゴリラの脳髄が適応し、最強の覆面レスラーが誕生する。 しかし、獣人レスラーは凶暴化するとともに風貌も獣人化し、暴走するのであった。 映画の意図としては、プロレスラーを獣人化することによってモンスターらしく暴れさせたかったのだろうね。 そのためにプロレスラーとゴリラの脳髄をかけあわせたわけだ。 でも、その目論みは嫌いじゃない。 プロレス会場で、ゴリラ男が暴れ出したために、人々がパニックになるシーンはモンスター映画らしくていい。 ときどきゴリラ男と鉢合わせし、ゴリラ男のわきをすり抜けて逃げる人々がいるところはご愛嬌。 DVDの解説によると『獣人ゴリラ男』は、『フランケンシュタイン(1931)』と『モルグ街の殺人(1932)』の影響が見られるとのこと。 でも、クライマックスの美女を攫って建物の屋上に逃走するところは、ゴリラ男なだけに『キング・コング(1933)』を彷彿とさせる。本当は、「キング・コング」もどきの巨大生物映画がやりたかったのに、予算がないから等身大モンスターにしちゃったのではないのか。 いずれにしても「フランケンシュタイン」傾向の映画は、マッドサイエンティストのいかれ具合とモンスターの暴れっぷりだね。 この映画はメキシコ製である。 プロレス界を部隊にしているので、古いルチャ・リブレを見ることができる。 ルチャ・リブレの印象は、空中戦、アクロバチックな動きを主体としたものだ。 しかし、当時のルチャ・リブレは、アメリカン・プロレス的な動きだった。 まだ、メキシコ独自の試合スタイルに進化するには至っていなかったようだ。 そんな中にあっても、ロープ・ワークなどに後年のルチャ・リブレの片鱗が感じられた。 そして、コーナー・ポストに投げられたルチャ・ドールが、そこに飛び乗ると振り返りざまにダイビング・ボディプレスを放った。 この映画の15年後には、日本初登場のミル・マスカラスが、コーナー・ポスト最上段から対戦相手の星野勘太郎めがけて華麗に宙を舞うことになる。 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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