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テーマ:DVD映画鑑賞(14213)
カテゴリ:ドラマ
ロバート・アルドリッチ監督は、アメリカン・フットボールを題材とした『ロンゲスト・ヤード(1974)』を見て、大ファンになった。 だから、女子プロレスを扱ったこの『カルフォルニア・ドールズ』も、公開時に大いなる期待感をもって見た。 本国アメリカでの公開は1981年。 日本の女子プロレス界では、ビューティー・ペアのブームとクラッシュ・ギャルズの熱狂の、ちょうどはざまの時期にあたる。 この期間の全女(全日本女子プロレス)を支えたのが、ジャガー横田、デビル雅美、そしてアイドルから女子プロレスラーに転向したミミ萩原だった。 映画の中で、ミミ萩原はジャンボ堀と組んで「ゲイシャ・ガールズ」としてカリフォルニア・ドールズと対戦している。 当時のミミ萩原の得意技は、ビーナス固めだった。 プロレス技といえば、監獄固めとか魔神風車固め、サソリ固めといったいかついネーミングが多い。 あるいは4の字固めとか卍固めとか、無機質な響きのものも多数ある。 その中で、ビーナス固めってどうなんだ、と思った。 ちなみに、日本プロレス時代の若きアントニオ猪木が、その頃はまだ珍しかったマイクアピールで「あの野郎、つぎの試合では、まんのじ固めでやっつけてやりますよ」と言ったことがあった。 慣れないマイクアピールで、思わず卍固めと4の字固めを混同したのだろう。 卍固めは、別名アントニオ・スペシャルといわれたんだけどね。 さて、『カルフォルニア・ドールズ』である。 どさまわりの女子プロレス・タッグチームとマネージャーのロードムービーだ。 マネージャー役を、刑事コロンボのピーター・フォークが演じた。 日本の女子プロレスは、全日本女子プロレスとかジャパン・女子プロレスのように、女子だけ団体で試合を行っている場合が多い。しかし、アメリカでは、男子プロレスの添え物のような扱いである(映画では、男子プロレスと一緒の場面はなかったが)。 また、この映画が公開されたころは、男子のプロレスラーも、自分であるいはマネージャーが、アメリカ各地のプロモーターと交渉、契約して試合をして歩くことが一般的だった。 人気が出れば、一カ所に一定期間定着できる。 または、地元レスラーとしてスター扱いされればチャンピオンになれる。 そうでなければ、使ってくれるテリトリーを渡り歩く、アメリカのプロレスラーは、そんななりわいだった。 日本では、男子も女子も、プロレスラーは団体の所属となる。 外国人レスラーもシリーズ契約となる。 そして、地方巡業での移動も宿泊場所も、団体が一括して面倒を見てくれる。 しかし、当時のアメリカ・プロレス界では、下っ端レスラーは全部自分でやらなかればならなかっった。 ちょっとでもいい条件、好待遇で試合がしたいから、カルフォルニア・ドールズも、ピーター・フォークが地方のプロモーターに猛烈な売り込みをかける。 ファイトマネーの他には交通費も、宿泊費も出ない。ときにはタオルの洗濯代などといってピンハネもされるから、取り分に関して丁々発止とやりあうことになる。 さらに、不本意な泥レスの試合をやらされたり、試合を組んでもらうためにプロモーターの言いなりになったり。 カルフォルニア・ドールズの二人は、ほかの仕事をやりたくても学歴がない。彼女らに備わっているのは、女子プロレスというタフな世界の中では珍しい美貌だけだ。 そういうどさ回りの悲哀を乗り越えて、彼女らは一流ホテル(リノのMGMホテル)でのタイトルマッチのチャンスをつかむ。 この映画の中で、女子プロレスは、真剣勝負として扱われている。 タイトルマッチは、レフェリーがプロモーターに買収されて、不透明な展開になるものの、闘っている女子レスラー同士は、きちんと勝ち負けを競っている。 とはいうものの、例えば『ロッキー(1976)』のような、あるいは『ミリオンダラー・ベイビー(2000)』のようなハードトレーニングのシーンはない。 カルフォルニア・ドールズの3人組が必要なのは、フィジカルな強さではない。メンタルな強さ、夢見る力を決して失わないことなのだ。 クライマックスのタッグ・タイトルマッチ、カルフォルニア・ドールズは満を持して、ここぞという場面で、スペシャル・ホールドを繰り出す。 そのスペシャル・ホールドこそ、日本のゲイシャ・ガールズとの試合で彼女らが使った「ローリング・クラッチホールド」だった。カルフォルニア・ドールズは、対戦相手のトレド・タイガースの二人に、ロープ越しのローリング・クラッチホールドを同時に決めたのだ! しかし、この「ローリング・クラッチホールド」、日本語字幕では「回転逆エビ固め」となっていた。いくらカルフォルニア・ドールズでも、そんな現実離れした技はできません。正確には「回転エビ固め」です。 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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