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テーマ:DVD映画鑑賞(14213)
カテゴリ:サスペンス映画
冒頭、ヨーロッパのパンドリカ国(架空の国)の雪山が映される。 この雪山は、マットペインティング、つまり背景画だ。 そして、カメラがずーっと右に動いていくと、雪崩の被害を受けた駅が見えてくる。駅から町並みへ景色は移っていくがこれらはミニチュアである。 ここで驚くのは、駅のプラットフォームに人影があることだ。これもミニチュアだなと思っていると、突然一つの人形がラジオ体操のように手を動かす。 え!?どうやって撮ったんだ?CGのない時代に、人の映像をはめ込んだのか?。 もう一回巻き戻して見てみると、やっぱりミニチュアの人形で、それが手の部分だけ動く仕掛けになっていたのだね。 しかし、ミニチュアだと思っているところに、こうした動きが入ると、リアルさが感じられる。 このあと、街を模型の車も走ったりするが、それは明らかに模型と分かった。だから、人形のミニチュアのような衝撃はなかった。 映画はつくりものである。 なにも実景を撮影して、上映しなければならないということはない。 実景以上に、こうして絵やミニチュアの建物を工夫して撮影(つまり特撮)するのは、映像ならではの表現といえるだろう。 この映画、もちろんストーリーも惹き付けられる。 主人公アイリスが英国に向かう列車に一緒に乗り込んだはずのミス・フロイが忽然と姿を消す。 そして、周囲の乗客たちは、ミス・フロイなんて最初から乗り込んでないという。 ヒッチコックお得意の「ありえない偶然」でとばし、そしてやはりお得意の「マクガフィン」も快調だ。 枝葉の部分でゴタゴタと説明するよりも、スリリングな展開とエモーションへの刺激で見る者を引っ張っていく。 これがヒッチコックの世界だ。 ※マクガフィン=なぜ狙われたのか、何を狙っていたのか、といった理由や原因等よりも、狙われた結果どうなったかという現象面をストーリー上で重視すること そして、やっぱりこの映画が楽しいのは、特撮だ。 列車が映画の舞台となっていながらも、実際の列車はあまり出てこない。 ミニチュアの列車を使った場面が頻繁に出てくる。 それから、スクリーン・プロセスも随所で効果的に使っている。 アイリスを助けるギルバートが、列車の窓から外へ出て、決死の覚悟で隣の個室へ移ろうとするとき、反対方向から列車来ちゃったぁ、ぎゃー、あぶないってところがスクリーン・プロセスで撮影されているんだろうけど、すっごい迫力だった。 ※スクリーン・プロセス(リア・プロジェクション方式)=セットや実景ではなく、スクリーンに映像を映し、その前で役者が演技をしているところを撮影する。 当方は、特撮ファンである。 特撮は、映画ならではのおもしろさを味わわせてくれる。 怪獣が出てこなくても、宇宙から円盤が攻めてこなくても、例え映画の隠し味的な使い方であっても、よくできた特撮を見ているだけで映画を堪能できる。 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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