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October 4, 2015
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カテゴリ:サスペンス映画

 原則的に、映画を見るまえに、情報は入れないことにしている。
 その映画について更の状態で見た方が、意外性とか驚きとか、映画のおもしろさをしっかり受け止められるからだ。

 そのようにして見るから、例えば『サイコ』のような有名な映画も、あますところなく楽しめた。
 この『サイコ』は、公開当時、映画を観た人は結末を話さないでください、とか、映画の途中からは入場禁止、とかのルールが広報がされた。
 さらに、ヒッチコックが来日し、監督自らが念を押すように、上記のことをお願いして回ったという。

 当方が『サイコ』を見たのは、ビデオテープだった。
 そんなもんだから、映画が公開されてからずいぶん年月が経っていた。その間に『サイコ』についての情報は、様々なメディアで紹介されている。
 しかし、その情報にふれず、公開当時のルールのままに見たから、ジャネット・リーがどんな役どころなのか、あるいはアンソニー・パーキンスが、どんなパーソナリティーなのか、そういうこの映画のポイントを新鮮な感覚で味わうことができた。

 さて、『舞台恐怖症』である。
 この映画にも、重要なポイントがある。
 そのことについて、当方はまるで予備知識がなかった。
 あとで、この映画について調べてみたときに、このポイントがいわば論点にもなっていることがわかった。
 今回、そのポイントについて語ることになるわけだが、『舞台恐怖症』を見ていない人がこれを読むと、楽しみが半減する。そのことだけ、先にお断りします。

 ではでは。
 冒頭、ジョナサンは、ひきつった表情で、恋人?のイヴに、殺人事件の犯人と疑われたかもしれないと語る。
 ここから回想シーンとなる。
 大女優・歌手のマルレーネ・ディートリッヒ演じるシャーロットがジョナサンのもとにやってきて「夫を殺した」という。
 ジョナサンは、返り血を浴びたシャーロットの着替えを取りに、殺人現場であるシャーロットの家に行き、そこでメイドに姿を見られて逃げ出してきた。
 この回想シーンは、克明に描かれている。

 当方は、その回想シーンのできごとを前提として、映画の続きを見ていたのだ。
 ヒッチコックのお得意は、ある男が「間違われ」て事件に「巻き込まれ」るパターンである。だから、今回もそうかと思ってた。

 とこうが、ラストになって、ジョナサンの証言がウソであったと分かるのだ。
 「えー!?」
 この期に及んで、「ジョナサンが真犯人だった」のかい、それはないだろう、てなもんだ。

 この展開については、ヒッチコック監督自身が「失敗作だった」と言っているそうだ。それはそうだろう。
 しかし、サスペンス映画の新しい手法と評価する向きもあるとのこと。
 まあ、賛否両論あったのだね。

 いずれにしろ、このポイントについて、当方は全然知らなかった。
 だから、「ジョナサンが犯人だった」とわかったときには、素直に衝撃を受けた。また、この展開について、誰の意見でもなく、自分の率直な感想をもつこともできた。
 だから、映画のデキとか内容とか、失敗作だったかどうかはともかく、『舞台恐怖症』も楽しい映画体験となったわけだ。

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Last updated  October 4, 2015 08:48:07 PM
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