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テーマ:DVD映画鑑賞(14213)
カテゴリ:ドラマ
主演の唐沢寿明は、ブルース・リー好きで特撮好き、さらにスーツ・アクターとして特撮番組にも出演していたという。いいじゃないか。 もうひとり、福士蒼汰は、なんと『仮面ライダーフォーゼ(2011〜12)』如月弦太朗ではないか。リーゼントじゃなかったから、わからなかったけど。 この映画、何かに似てるなぁと思ったら、それは『蒲田行進曲(1982)』だった。 『蒲田行進曲』は、映画スター銀ちゃんと名もない大部屋俳優ヤスが登場する。すったもんだのすえに、ヤスは大作映画「新撰組」のクライマックス、池田屋騒動の階段落ちシーンで命がけのスタントに挑む。 一方の『イン・ザ・ヒーロー』。 福士蒼汰は若手の人気俳優一ノ瀬リョウ役。ハリウッド映画でスターになるチャンスを狙っている。 そして、唐沢寿明が演じるのは本城渉。特撮番組等でスーツアクター(変身後のヒーロー等を担当。仮面をかぶっているから、当然素顔は画面に映らないし一般に名前を知られることも少ない)を演じ続けて25年だ。 スーツアクター本城渉のもとに、久方ぶりに素顔で映画に出演するオファーが来る。しかし、その役を一ノ瀬リョウに取られてしまう。 日本を舞台にしたハリウッドのアクション映画が撮影される。ところがクライマックスのアクションシーンがあまりに危険なため、予定していた香港のアクションスターが逃亡してしまう。そして、その大役が本城渉に回ってきた。 本城渉は、命がけの危険なスタントに挑む。 『蒲田行進曲』も記憶に残る映画だったらが、『イン・ザ・ヒーロー』はさらに思い入れを感じる映画だ。 『イン・ザ・ヒーロー』がいいなぁと思ったのは、まず、特撮のスーツアクターにスポットをあてたところだね。 特撮番組とかスーパーヒーロー、そしてスーツアクターなどは、マイナーな存在だ。 特撮ヒーロー番組などは、子供向けのものであり、誰もがある時期夢中になるが、いずれは年齢が上がってきたら卒業するものというのが大方の見方だろう。 そして、若手俳優の登竜門という見方もされている。 福士蒼汰は、『仮面ライダーフォーゼ』で名前が出て、そのあと一般のドラマで人気が急上昇した、らしい。 若手の俳優にとって、特撮ヒーロー番組とは、出世のチャンスをつかむところである。そういう意味では、特撮ヒーロー番組に出演することが俳優としての夢や目的ではない。 俳優としても、卒業していくものなのだ。 しかし、そういった特撮ヒーロー番組にも、夢を描き、全身全霊で取り組んでいる人々がいる。例えばスーツアクターさんたちだ。 彼ら、彼女らは世間的に名前や顔が売れるわけではない。 スーツアクターあるいは大部屋俳優といった人たちも、名前や顔が売れればそれにこしたことはないだろう。 だが、本城渉にしてから、地位や名誉、はたまた収入などより、自分の好きなこと、自分のやりたいことを選んでいるわけだ。 世の中の価値観とは、他者とくらべて上か下か同等か、損か得かなどと見ることがありがちだ。だけど、そこばっかり見ていては、自分自身で充実感や納得感が味わえないのではないか。 本城渉、そしてアクションクラブのメンバーは、世間体よりも自分自身の価値観を大切にしている。そして、仲間を大切にしている。他者をくらべる相手、競争相手として見るのではなく、みんなで高め合っている。 スター候補生一ノ瀬リョウは、特撮ヒーローもの仕事を自分を売り出すステップとして捉えていた。また、最初は本城渉やアクションクラブのメンバーの生き方に違和感を感じていた。だが、アクションクラブと一緒に仕事をして、本城渉たちが身につけているアクションが薄っぺらなものではないことを理解し、リョウも変わっていく。 クライマックス、本城渉は、首に爆弾をかかえながらも、CGやワイヤーワークに頼らない、決死の生身アクションに挑む。それは名声やギャラを求めてのものではない。己のこだわりへのチャレンジなのだ。例え満身創痍になろうとも、最上の「やりきった感」を味わうことができる。 「誰も知らないヒーロー」 (映画『イン・ザ・ヒーロー』劇中歌) アーティスト:串田アキラ 作詞者:水野敬也 作詞者:早乙女光一 作曲者:井手次郎 作曲者:Tasuku Maeda 編曲者:Tasuku Maeda 映画 ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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