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今年、出た民俗学の学術書の中でおもしろかったものを
review。 まずは 漁村を舞台に 昭和50年代まで、若者に漁業を中心とした技術を 教え込む青年宿というという組織を追ったもの。 そこにみられる競争原理や人物評価のあり方は 現代の教育システムを読み解く展開も孕んでいる。 単純に漁村社会の事例がおもしろい。 第2章の「青年宿のシステムと社会構造」が秀逸。 だけど、こういった社会のあり方を青年宿のシステムだけで 論じてしまうのは、もったいない。 ちなみに私、この本のお手伝いをちょっとしました。 菅先生は おそらく民俗学で5本の指に入る方だと思います。 むちゃくちゃ頭がいいので恐れ入ります。 マイナー・サブシステンス論からコモンズまで 実証性を兼ねた調査をしており、 かつ聞き取りのおもしろさを損なわない 稀有の研究者だと思います。 この先生のやり方は 他に真似ができません。 「技能」、「民俗自然誌」、「自然知」など 民俗学の流行語の発信者となってきた氏の 調査はエチオピア、コンソや山口県萩市見島、岡山県真庭市など 広く、そして深い。 最新の生業研究の動向にも触れ、 それを評価しているので、入門書としてもいいと思う。 文章も非常に読みやすく、 エネルギッシュ。 なんかこの先生好きだなぁと思わせるものがあります。 水田漁撈の研究 まず、ぶ厚い。 毎年、恐ろしい量の仕事をされていて、 でも内容が濃い先生です。 これまで、昭和前期にスポットを当てて、 生業複合論を論じてきた氏ですが、 今回は現在の問題にも取り組んでいます。 松井健さんの「セミ・ドメスティケーション」などにも 触れていて、これからの広がりが楽しみなところです。 でも、前作で仮説としてあげていた 稲作の内部化の歴史的展開の図は いまだになんだか受け付けません。 『上越市史』民俗編 従来の市町村誌の民俗編には 収まらない記述と内容の濃さで すごくおもしろかった。 ■ ■ 他にも注目すべき本はあると思うのですが、 生業研究ではこの5冊は押さえておくべきだと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.12.27 12:54:45
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