山猫天使 名香智子~コスチューム・プレイの愉しみ
『山猫天使』(やまねこてんし) 名香智子 フラワーコミックスαフランス ブルボン王朝の冒険活劇浪漫……名香智子先生お得意のコスチューム・プレイ=歴史漫画です。ペリューク(カツラ)とクラウ゛ァット(ネクタイ)・リボンとレースの時代。衣装の時代考証もバッチリ!美しい双子姉弟の出生の秘密と宮廷貴族 モレ侯爵のミステリアスな、ちょっとピカレスクチックなお話でした。時代的には、1716年 ルイ14世亡き後、ルイ15世(6才)の治世。国王とは名ばかりで実質的な権力は摂政 オルレアン公爵が持っています。王族の成人は14才だから、親政までちょっとかかりますね。まだ、ポンパドゥール侯爵夫人やデュバリー伯爵夫人の影も形もありません。お話の中には、双子姉弟 ガブリエルとラファエルの先祖のこと、オルレアン公爵(ルイ14世の甥)とメーヌ公爵(ルイ14世の庶子)の権力闘争も絡みます。何より、双子の母とマントノン侯爵夫人(晩年のルイ14世と結婚)の関係が気になります。指輪を預かった経緯も。マントノン侯爵夫人と少年時代のメーヌ公爵が、なぜ 旅行で双子の母の生家に立ち寄ったかも。その辺を絡めて、再び描いてくれるといいのですが……さて、物語の始まりに関係しているものに、100年前の国王とモレ伯爵夫妻の話があるのですが……、この国王はアンリ4世でしょう。結構、艶福家だったそうですから。反面、息子のルイ13世は女性に興味が無かったとか。(反面教師か?)『恋多き国王は臣下の妻にも強引に言い寄り、(夫の伯爵は反逆罪の汚名を受け、失脚→処刑。)嫉妬に駈られた王妃は彼女を毒殺した…』と、S&A・ゴロン著の『アンジェリク』を思い出しました。この場合の国王は、ルイ14世。フランスの国王は、ルイが多くて混乱するから、イヤ!(by 娘)巻数にすると、1~5巻辺りかな。主人公 田舎貴族の娘アンジェリクの夫は、南仏トゥールーズの大金持ちのペイラック伯爵 。南仏は元々、アキテーヌ公国の土地で、王の力の及ばない土地柄です。その、ぺイラック伯爵の財産・権力を危ぶみ、家臣の讒言(ざんげん)に、ルイ14世は彼を逮捕・爵位剥奪の上 財産は没収、処刑。苦労の末 宮廷にどうにか、返り咲いたアンジェリク。彼女の息子カントーがルイ14世の前で歌を歌うシーンがあるのですが、それがアンリ4世の歌だったと。なんだか、無性に『アンジェリク』が読みたくなりました。名香智子先生の絵で!かつて『アンジェリク』は、木原敏江先生の絵で漫画化しましたが、版権の関係で途中まで。しかも少女漫画テイストだったので、甘く仕上がってました。掲載誌と時代から言って、仕方ないのかもしれませんが。でも、今なら、大丈夫かもしれない……!そういえば、『アンジェリク』は、宝塚で舞台化もしていましたね。DVDは残念ながら、見付からなかったのですが、「アンジェリク 炎の恋の物語」と「青き薔薇の軍神 アンジェリクPART2」となっているようです。こちらは、原作国フランスのDVD昔、NHKで放映した時にビデオ録画したのを思い出します。(どこにしまったっけ……) 名香智子先生もかつて、緑の誘惑シリーズという連作を書いていた記憶があります。ルイ13世の寵臣リュイーヌ。妹をルイ13世の愛妾に差しだそうと考える……。女性嫌いの国王に自分にそっくりな顔立ちで、野性的な妹を差し出して、権力を得ようと画策する……文庫になっていないかな? 小学館だったかな? ( 講談社だったようですね…) そういえば、先日の『ホモセクシャルの世界史』でも、ルイ13世の寵臣として、彼の名前が出ていて懐かしく(?)思いました自分が創作した『エキゾチックエメラルド』シリーズで歴史資料を読み込んだ時、フランス国王をルイ14世とルイ15世に限定したので、今回は他の面でも深く濃く楽しめました。こういう愉しみ方は、本当に愉しい!自分のオリジナルのキャラクターと歴史上のキャラクターを絡めるのは、物書きとしての醍醐味ですよね~f(^_^;