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カテゴリ:文学
太宰の幼少期の母や乳母との関係から、根底で人間不信や対
人恐怖を獲得してくしてしまった不幸に起因している。人間は信 じられない、不可解が深まるばかりだという人間観があった。 世間的に愛とか信頼は、自分を中心に据え愛の限度や利害 の限界を自覚し得ている。自分を喪失してしまうような危機感や 不利益にはストップが掛かる。限度を超えてしまいそうになる と、お互いが背を向けて自分の世界に閉じこもるという了解もあ る。 ところが太宰には、その限度の境界線があるなんてことは信 じられなかった。愛や信頼はそんなものではない。それは「走れ メロス」にも表れ、「人間失格」にも表現されている。その限界を 超えてでも愛を、信頼を貫くという破滅志向が自殺への動機付 けとなり、ついにはそれを完成する人生となった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年05月12日 23時16分34秒
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