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カテゴリ:歴史
第一次世界大戦。
冬の12月。 ドイツ軍とフランス軍が100メートルぐらいの距離で殺しあう最前線。 いつまで続くか、果てしのない戦い。 塹壕は、けが人で一杯。 その最前線の塹壕に、 とびきり寒い冬の日、一人の男がやってきた。 彼の名は、ヴァルダー・キルヒホフ。 世界で最もチケットをとる事が困難といわれる、 バイロイト音楽祭に、4年連続出演するほどの 世界的ドイツのテノール歌手。 ドイツ軍の塹壕から、キルヒホフの美しい歌声が、凄惨な戦場に響きわたった。 それは、100メートル先の敵国フランス軍の塹壕にまでとどいた。 すると、フランス軍の中から。。。 ”この歌声は、パリのオペラ座で聞いた、ヴァルダー・キルヒホフのものだ。” と叫ぶものがいた。 その歌声に聞き覚えがあることに気付いたフランス将校は、 ドイツ軍の塹壕に向かって大きな拍手をおくった。 すろと、その拍手を聞いた、ヴァルダー・キルヒホフは、 殺しあって憎むべき敵でありながら、 自分の歌声に拍手を送ってくれた人がいることに感動する。 彼は、相手の気持ちにこたえるために、 戦闘中の塹壕から飛び出して、 笑顔でゆっくりと敵に向かって歩き出した。 そして両軍の中間地帯(ノーマンズ・ランド)を横断し、 拍手を送ってくれた、敵の将校に、深々と優雅に挨拶をしたのだった。 その瞬間、戦場は、戦場でなくなってしまった。 この様子を見ていた両軍の兵士たちが、 塹壕から出て来て敵兵と交流してしまったからだ。 兵士達は、思い出したのだった。 キルヒホフの歌を聞いたとき、 今日が、”大切な日、クリスマス”だということを。 人々は、のちにこの日の出来事を、”クリスマス休戦”とよんだ。 歌が、憎しみをこえた瞬間の出来事だった。 これは実話です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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