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2008.07.20
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カテゴリ:歴史
第一次世界大戦。

冬の12月。

ドイツ軍とフランス軍が100メートルぐらいの距離で殺しあう最前線。

いつまで続くか、果てしのない戦い。

塹壕は、けが人で一杯。

その最前線の塹壕に、

とびきり寒い冬の日、一人の男がやってきた。

彼の名は、ヴァルダー・キルヒホフ。


世界で最もチケットをとる事が困難といわれる、

バイロイト音楽祭に、4年連続出演するほどの

世界的ドイツのテノール歌手。

ドイツ軍の塹壕から、キルヒホフの美しい歌声が、凄惨な戦場に響きわたった。

それは、100メートル先の敵国フランス軍の塹壕にまでとどいた。

すると、フランス軍の中から。。。

”この歌声は、パリのオペラ座で聞いた、ヴァルダー・キルヒホフのものだ。”

と叫ぶものがいた。

その歌声に聞き覚えがあることに気付いたフランス将校は、

ドイツ軍の塹壕に向かって大きな拍手をおくった。


すろと、その拍手を聞いた、ヴァルダー・キルヒホフは、

殺しあって憎むべき敵でありながら、

自分の歌声に拍手を送ってくれた人がいることに感動する。

彼は、相手の気持ちにこたえるために、

戦闘中の塹壕から飛び出して、

笑顔でゆっくりと敵に向かって歩き出した。

そして両軍の中間地帯(ノーマンズ・ランド)を横断し、

拍手を送ってくれた、敵の将校に、深々と優雅に挨拶をしたのだった。


その瞬間、戦場は、戦場でなくなってしまった。

この様子を見ていた両軍の兵士たちが、

塹壕から出て来て敵兵と交流してしまったからだ。


兵士達は、思い出したのだった。

キルヒホフの歌を聞いたとき、

今日が、”大切な日、クリスマス”だということを。

人々は、のちにこの日の出来事を、”クリスマス休戦”とよんだ。


歌が、憎しみをこえた瞬間の出来事だった。

これは実話です。









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Last updated  2008.07.20 08:08:41
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