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カテゴリ:グットな人
ファスナーの世界で、トップを独走する会社。
”YKK” この会社は、昭和9年の創業当時、吉田忠雄と二人の従業員がいるだけの小さな会社だった。 現在、YKKの従業員数は、36.000名を超える。 彼は、小学校と高等小学校を学年トップの成績で卒業するほど頭が良かった。 しかし、吉田の家計は貧しく、大学へ行くことは叶わなかった。 見かねた、吉田の二人の兄が、”学費は俺たちがなんとかするから大学へ行け”と 言ってくれた。 吉田は、 ”学校なんか行きたくない。僕は商売をやって、うんと儲けるんだ。”と言って、 トイレに駆け込んで声を殺して泣いた。 彼には一つの哲学があった。 ”善の循環”という考え方だった。 小学生だった吉田が、読んだ本の中で、ある人物が語った言葉から来ている。 ”他人の利益を図らずして、自ら繁栄することはできない。” アメリカの鉄鋼王、アンドリューカーネギーの言葉だ。 吉田は、カーネギーの言葉を自分のものとした。 吉田は言う。 ”商品を安く買って高く売れば儲かるが、それではお客様の利益にはならない。 高く買って安く売ったら、自分が滅びることになってしまう。 だが、発明と工夫、貯蓄と投資を繰り返してゆけば、 お客様も自分も繁栄することができるだろう。” 昭和48年、日本を”オイルショック”が襲う。 物不足、物価の高騰が深刻な状況の中、 吉田は決断する。 激しいインフレが続くなかで、取引先を集めて吉田は話をする。 ”わが社は、これから100億円の損失をかぶります。 だから、皆さんは出し惜しみや値上げをしないでいただきたい。”と 宣言したのだった。 吉田は、いまこそ社会へ貢献をするときだと思った。 そして、オイルショックが日本を通り過ぎた後、 YKKは、当時の金額で40億円の損失を被った。 しかし、かわりに、”お金で買えない大事な信用”を得たのだった。 吉田の、あるエピソードをひとつ紹介したい。 海外へ派遣される社員に、吉田が語った励ましだ。 ”どこの馬の骨だかわからない奴が売りに行って、 そんなに簡単に商品が売れるわけがないんだ。 朝、早く行って会社の前で待っておれ。 そうすれば、うるさいやつだといって、ボスが出てくる。 その時がチャンスだ。” 相手をつかまえたら、”YKKはこのような能力を持っています。”といって、 ”御社の発展のために我々を利用してほしい。”とお願いするんだ。 お客様の利益をまず第一に考えろ。 国が違っても、同じ人間だ。 それぞれの繁栄につながるということは、国内だって、海外だってかわりはないんだ! 売ろう、売ろうとするからダメなんだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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