カフェ感

今回、NHK大河ドラマは、幕末が舞台。


篤姫が主役だから当たり前かもしれないが


いつも幕末時代というと、幕府側は悪役が多い。


しかし今回は少し違うようだ。


井伊直弼が、今回ほどカッコよく描かれたことはないだろう。


私は昔から幕府側の人々が好きだ。

最後まで官軍に逆らって戦い続けた東北に住んでいるから？


井伊直弼、勝海舟、山岡鉄舟、松平容保、

そしてなんといっても小栗忠順(おぐりただまさ）の生き方が美しくていい。


小栗忠順のエピソードを紹介したい。


幕臣の鈴木兵庫頭（重嶺・佐渡奉行）が小栗に質問する。


”幕府の運命も今となっては、なかなか難しい。

　費用をかけて造船所を造っても、それが出来上がる時分には

　幕府はどうなっているかわからない。

　本当に大金を使って、造船所などつくる意味があるのだろうか。

　薩長にくれてやるようなものではないか。。。”


小栗は答える。

”幕府の運命に限りがあるとも、日本の運命には限りがない。”


”私は幕府の臣であるから幕府のためにつくす身分ではあるけれども、

　結局日本の為であって、幕府のしたことが長く日本のためとなって

　徳川のした仕事が成功したのだと後に言われれば、

　
　徳川家の名誉ではないか。国の利益ではないか。


　同じ売り家にしても、土蔵付の売り家の方が相手も喜ぶであろうよ。”


　”あとは野となれ、山となれと言って退散するのはよろしくない。”

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　と語っている。


江戸城が官軍の手に渡った頃、

小栗は、ふるさとの上野の権田村（現在の群馬県高崎市倉渕町権田）への土着願書を提出し、

一族そろって権田村の東善寺に移り住む。

当時の村の記録によると水路を整備したり、学習塾を開くなどして、

静かな暮らしをおくっていた。

しかし3ヶ月後、官軍により小栗忠順は捕縛された。

同年閏4月6日朝4ツ半（午前11時）、小栗は”取り調べもされぬまま”

烏川の水沼河原（群馬県高崎市倉渕町水沼1613-3番地先）に3人の家臣と共に引き出され、

斬首された。享年42だった。

死の直前、大勢の村人が必死に小栗を擁護し、明治政府の役人と口論となる。。。

すると小栗は”お静かに！”と言い放った。

それが小栗忠順、最後の言葉と言われている。


作家の司馬遼太郎は

明治という時代のなかで、日本の近代化に尽くした小栗忠順の業績をたたえ、

彼を”明治の父”だと語っている。


まさに、小栗は真の武士だった。