339279 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

カフェ感

カフェ感

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Calendar

Category

Comments

ちょこどーなっつ@ Re:停電について(03/13) あんどーなっつです。 お元気ですかぁ…
ちょこどーなっつ@ Re:停電について(03/13) あんどーなっつです。 ご無事で安心し…
YUKI64@ 良かった! 無事でよかった! 命があって何よりです…
いなあゆ@ Re:停電について(03/13) ご無事でよかったです。
チョコまりん@ Re:停電について(03/13) ご無事で安心しました。 阪神淡路大震…

Keyword Search

▼キーワード検索

Archives

2024.11
2024.10
2024.09
2024.08
2024.07

Headline News

2008.12.06
XML

昭和21年6月15日、早朝、



朝もやのなか


一人のやせこけた、粗末な身なりの男が



京都駅に降り立った。




その男にとって、じつに5年7ヶ月ぶりの、故郷。



ワコールを創業することになる


塚本幸一だった。




さっそく自宅へ帰ると。。。



彼はじっとしてはいなかった。



初夏の日差しを受けながら、自宅から4キロほど離れた護国神社へ歩いていった。



到着すると


しばらく 深々と 頭をたれ


亡くなった戦友の顔を思い出しては、霊を弔った。



そして


自宅に戻ると こんどは おじさんの家へ出かけた。



塚本のおじさんは、裏の離れで電気屋を営んでいた。



塚本が、ひょいと顔を出すと、先客がいた。


なにやら商談中だった。


”これ、どこか、売れ口はないやろか?”




客が、

おじさんに差し出した商品のサンプルは、塚本がそれまで見たこともないものだった。



塚本は、不思議に思い、覗き込むようにして 尋ねた。


”それは数珠(じゅず)でっか?”



客は、


一瞬、唖然とした後、すぐに大笑いしながら、塚本に答えた。



”アホかいな。これは、”ネックレス”や”



塚本

”ねっ。。く。。れ。す”って、何ですか”



今度は、塚本のおじさんまで笑い出した。



おじさんは、客に、塚本が今日、復員してきたばかりの世間知らずであることを説明した。



すると客が、


”ネックレスいうたら、女の首飾りのことや。ただし、この真珠は模造品やけど”



塚本は、ネックレスを手にとって


”ほう、これがねぇ~”


”こんなもんが、売れますか?”





”ぼちぼちやけどな。そやけど、これは統制品やないさかい。売りやすい品や”




塚本は。。。思い出した。


塚本の友人で、市役所の前で、一風変わった雑貨を扱っているものがいた。


土をこねて作ったようなブローチや、竹で作ったボタン、しゃれた壁掛けなどを


販売している店だった。



さっそく塚本は、友人の店に行き、模造真珠の話を持ちかけた。



友人は思ったとおり、興味を示した!


さっそく、塚本はおじさんの家に戻り、模造ネックレスを1ダースほど借りた。


そして、友人の店に持ち込んだ。



友人は大喜びで、塚本の持ち込んだ、模造真珠をすべて買い取った。



さらに、塚本は、帰りに、友人の店の雑貨店で、面白そうなものを預かって帰ってきた。



そして、こんどは叔父の客に、友人のところの預かってきた商品を見せ、


その品物を客に売ってしまったのだった。




塚本は、



二度の往復で、ふたつの商談を成立させ、お金を得たのだった。




戦争から戻ってきた、その日  



塚本が、はじめて目にしたネックレス。



まさに、この時、



塚本の運命が、扉をたたいた瞬間だった。



将来、ワコールを創業するきっかけとなった日だった。



”日本の女性を美しくしたい!”


                                    つづく







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.12.06 19:50:37
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X