古ぼけた原稿用紙と幼き日の戯れ。
物置を整理していて、ダンボール箱の中から黄ばんだ原稿用紙の束を見つけました。400字詰め原稿用紙、枚数にして46枚。画用紙でご丁寧に表紙がつけてあって「アーク王子冒険記」などと油性マジックで書いてある。 あー!これ私が小学校5,6年の時に国語の授業で書いたヤツだぁ!懐かしい。確か教科書に古地図が一枚デン、と載ってて「この地図から思い浮かんだ物語を書いてみましょう」という課題があってクラス全員、一人ずつ書いたんだ。そう言えばあの当時担任に「たくさん書いた人には内緒でアイスを奢ってやる」と言われてこんな46枚も書いたんだっけ…卑しかったなぁ…と思いながら、いざ原稿用紙の束を手にとってめくり出す。どれどれ… …ぱらり。ぱらぱら。 読み終えて若いってスバラシイ…正直そう思った。さすがに原稿用紙46枚分も載せる訳には行かないので要旨を載せると。とある国の王子アークは馬に乗って国内散策していたところ本当に突然に竜巻に吹っ飛ばされ着いた場所はやしの木しか無い無人島。やしの木しか無い島のくせにあからさまに不自然に落ちている古地図を見つけそれに従って探検していくと得体の知れない怪物たちが王子アークを苦しめるが幸運にも持っていた剣でバッタバッタなぎ倒し誰が隠したんだか財宝を発見するついでに何故だか昔、家の都合?で別れさせられた恋人セレナがどうやって混入したのか無人島に登場し結ばれて偶然無人島の近くを通った船に助けられハッピーエンド♪ …という小学生らしいかなりこっ恥ずかしい陳腐な、つじつまの合わない部分てんこ盛り♪な内容でございました。…よくこんなんで先生オッケー出したな。まず竜巻に吹っ飛ばされる記述。「アークは竜巻に巻き込まれてしまいました。風がすごく強くて、目が回ります。あわたて器でかきまぜられているみたいです。」どうやらアーク王子とやらは「あわたて器」でかき混ぜられた経験をお持ちのようだ。王子って大変。それから怪物。「大きな丸い目で蟹のような大きなハサミを持っています。頭も蟹のハサミのようです。」…バルタン星人が無人島に生息しているらしい。別の怪人。「蛇が絡みあったような頭です。」…メドゥーサか。この怪人がいる時点で無人島ではないのでは…という考えが頭をよぎりましたが、まあ怪人は「人」ではないのでいいのか。「剣をエイっと刺すと怪人は倒れました。怪人は灰になって後には金貨が残りました。」なんかのゲームの影響ですかね…ていうか無人島で金貨あっても意味ないじゃん財宝の中身。「金・銀・宝石に混じってファミコンも入っていました。」あー、これ当時欲しくて欲しくてたまらなかったんだよ。私が。そして感動のラブ・シーン。「アークとセレナは砂浜に座って夕日を眺めました。辺りには誰もいません。アークとセレナは手をにぎって見つめあいました。 『アーク…』 『セレナ…』 そして口と口をくっつけました。キスというものです。初めてのキスはドキドキします。」 うひー。 口と口をくっつけるのがキスだとか解説してるーぅ♪…いやああ!私、恥ずかしくてもう死んじゃう。何が「ドキドキします」か。 や、やっぱね!こ、こういうものって当時の「あこがれ」みたいなモノが出てくるんですよ!!過去の私へ!私を笑わせてくれてあ、ありがとう!と言っておこう…。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 一日一善。あなたのお財布を痛めずに募金ができます。