|
カテゴリ:映画・舞台など
年内最後のかーねーしょん。
今日は折り返し地点で前半終了。終戦記念日の回だった。 15分でここまで一気に描ききるとは、なんと素晴らしい。 そうか…常に恐怖に怯え、寝不足で緊張していて碌に食べてない状態が続くのが戦争なのだ。 そりゃあ思考もストップするに決まってる。 戦争の愚かさ、哀しさ、恐ろしさについて語ったドラマはあまたあれど、徒労を身体の感覚で表現し、心がすっかり摩滅していく様子を描いたドラマは見た事がない。いっそのこと、疲れたあまり何も感じなくなってる方がむしろ楽なのではないかと糸子が述懐するのも、それだけ周囲が悲惨だから。そして、人間は現代でもそういう状態に戦争以外の理由で陥ることがあるので、だからこそ戦争の辛さを想像する事ができる。 脚本が徹底的にリアルだわ。 渡辺あやさんは天才だー!! ホントすごいなー。 あまりに脚本が凄くて椎名林檎も本気出してまっさらな状態で主題歌作ったというくらいなので、多分同じ理由でスタッフや俳優陣も渾身で取り組むしかなく、だからあんだけのドラマになってしまったのだと思う。本当にこの三ヶ月、毎日毎日、文芸作品の短編を観ているように楽しめた。一度もがっかりさせられたことがなかった。日本のどこかに糸子たちが存在しているようにすら感じる。脚本や俳優、演出以外でもこのドラマの好きなところはたっくさん挙げられる。まずはファッションに関するドラマだから着物がどれも素敵(柄on柄なのにモダン)、主題歌をはじめ音楽も素晴らしい、照明や撮影のアングルとかもすごく工夫されてるし…小道具もいいし、ロケもいいし、とにかく全部いい。作品世界が丁寧かつ緻密に作られている。 あとは俳優さんの適材適所感が凄いのだ。これまでの経験や評価以上にいい演技をされる方が多い。個人的にはトミーズ雅と小泉孝太郎の役所がジャストミートなんだけど、前半で一番このマジックにかかったのが田丸麻紀ではないだろうか。 ヒロインの幼なじみの義姉でいわゆる「ご近所のおねえさん」的な役所。舌打ち、メンチ切りも辞さない糸子がスカーレット・小原なら、彼女はメラニーみたいな癒し系。アクが強過ぎる面々の中にあって清涼剤のようなキャラクターは本当に得難い。シリアスな面も自然に演じているし、間違いなく代表作になるだろう。モデル出身故の美貌は、うまくメガネとサザエさん風ヘア(このヘアメイクの設定がキモ。秀逸!)で中和させ、違和感なくドラマに溶け込んでいる。このドラマは関西圏の女優さん中心にキャスティングされていて、彼女は岸和田近くの出身。だから単に言葉の面でオファーがあったんだろう位にしか考えてなかった。それがまさか、こんないいお芝居をされるとは~~!嬉しい誤算だが、こういうケースが他にもたくさんあるので、やっぱり現場一帯に相当強力な磁場があるんだと思う。 納得のいくいいドラマを作りたいというプライドと情熱を、ひしひしと感じるなー。 視聴者に媚びず、渾身の力で携わっているスタッフの皆様に心から感謝したい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011年12月29日 11時17分18秒
[映画・舞台など] カテゴリの最新記事
|