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未音亭日記

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未音亭@ Re[1]:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) tekutekuさんへ これまた情報ありがとうご…
tekuteku@ Re:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) ジョゼフ・ペインのライナーノーツに関し…
tekuteku@ Re:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) ジョゼフ・ペインのライナーノーツに関し…
未音亭@ Re[1]:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) Todorokiさんへ コメントありがとうござい…

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April 10, 2022
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カテゴリ:音楽
いつのまにやら4月も上旬が過ぎ去りました。新年度が始まって亭主のまわりでもいろいろなことがリニューアルされているのを目にします。この齢になると特に驚くこともありませんが、一つガッカリしたことには、未音亭のホームページ(本邸)がサーバーの営業終了にともない閉鎖をよ余儀なくされたことでした(4月4日)。

地元の有線放送会社が提供するインターネットサービスで、セキュリティ上の問題を解決できなかったというのが会社側の説明ですが、有線放送の契約者という限られた数の利用者を相手にこれ以上コストと手間をかけるに見合わない、という経営上の判断だったのでしょう。

また、本邸のページはMacのiWebというホームページデザインソフトで作成・更新していましたが、このソフトも2011年にサポート終了となっており、昨年買い替えたMac(M1チップ)上ではついに動作すらしなくなったため、この先どうするか思案中だったところ、トドメを刺された感じです。(というわけで、今や亭主は「ホームレス」状態。)

閑話休題。この週末、ロンドーのゴルトベルク変奏曲と同時に購入してあった表題のCD(2021年10月リリース)をじっくり拝聴しました。亭主の興味としては、このところアンタイが精力的に録音を進めているスカルラッティ・ソナタの未収録曲が聴けることもさることながら、彼がヘンデルをどのように料理しているのかも大いに気になるところ。師匠のレオンハルトは、どうやら意図してヘンデルをレパートリーから除外していたこともあり、アンタイのオリジナルなアプローチが聴けるという面白さもあります。



CD1枚の構成は、以下のようにヘンデルとスカルラッティの作品が交互になっており、見たところ1回のリサイタル・プログラムといった感じです。

G. F. ヘンデル
1.『忠実な羊飼い』序曲 HWV.8aより序曲(アンタイ編)
2. 組曲ニ短調
 アルマンド HWV.436
 クーラント HWV.437
 サラバンド HWV.438
 メヌエットと変奏 HWV.436
 ジーグ HWV.438

D. スカルラッティ
3. ソナタ ホ短調 K.147
4. ソナタ イ長調 K.24
5. ソナタ イ長調 K.429

G. F. ヘンデル
6. 組曲第5番、ホ長調 HWV. 430
 前奏曲
 アルマンド
 クーラント
 エアと変奏

D. スカルラッティ
7. ソナタ ニ長調 K.443
8. ソナタ ト短調 K.12
9. ソナタ ト短調 K.546
10. ソナタ 変ロ長調 K.16

これらの中で、やはり目につくのは冒頭の「序曲」と「組曲ニ短調」。前者はヘンデルによる元のオペラの序曲をアンタイ自身が鍵盤用に編曲したもの、後者はハープシコード組曲集第2巻に含まれる9曲のうち、第3番(ニ短調、HWV.436)、第4番(ニ短調、HWV.437)、第5番(ホ短調、HWV.438)に含まれる舞曲から、アンタイが適宜選び出してオリジナルな「組曲」に仕立てたものです。

ヘンデルは、スカルラッティとの交友を楽しんだイタリアから1709年にドイツに戻りますが、翌1710年には英国に渡ってオペラ『リナルド』を制作・上演し(1711年)、大きな成功を収めます。『忠実な羊飼い』は、『リナルド』の後に一旦帰国したヘンデルが再度渡英して手がけたオペラということで、まだイタリア時代、とりわけ親友スカルラッティの影響を残しているかもしれない作品として取り上げられたものと想像できます。

また、「組曲ニ短調」を構成しているハープシコード組曲集第2巻についても、英国でウォルシュが出版したのは1733年ですが、中身はヘンデルのドイツ時代(1710年以前)の作品が多く含まれているとか。イタリア周遊の影響はともかく、彼の若書きの作品である点は前作と共通です。

では、アンタイが既存の複数の組曲から舞曲を自由に選んで組み合わせ、新たに「組曲」を構成した意図はどこにあるのか。

そこで少し調べてみると、第2巻の組曲の構成は、当時の出版にまつわる経緯から見てヘンデルの意図をどこまで反映しているのかは不明、ということのようです。(ウォルシュが同じ調の舞曲を適当に組み合わせて「組曲」に仕立てた可能性もある?)

そうなると、この第2巻はむしろ17世紀フランス・クラヴサン音楽における「音楽帳」のようなもの、つまりアルマンド、クーラントといった舞曲ごとのストックコレクションとみなし、演奏家がその中で自由に舞曲を組み合わせて新たに「組曲」を仕立ててもよい、というふうに考えることもできます。このプログラムでアンタイの意図したことも、その辺にあったと推測できます。

一方、後半の組曲第5番は、ハープシコード組曲集第1巻の中でも「調子のよい鍛冶屋」という題名で特に有名な作品。第1巻は1720年に出版され、それに遡る3年ぐらいの間に書かれた曲を収めていると考えられています。その後ヘンデルはオペラあるいはオラトリオの作曲に専心し、ハープシコード独奏曲は書かなかったので、この巻は当該ジャンルにおける彼にとっての到達点のようなものかもしれません。

さて、肝心のアンタイの演奏はというと、かなり自由に装飾音を入れ、テンポも揺らせながら弾いています。スカルラッティのソナタもそうですが、繰り返しの部分では装飾音の自在さが際立ちます。とはいえ、それらが過剰になるという印象はなく、いかにも「華麗なるアンタイ節」といった演奏で、亭主も大いに楽しませてもらいました。(特に第5番、こういうヘンデル演奏は初めての体験。)

ちなみに、使用している楽器は、ジャン・ロンドーがゴルトベルクで使っていたのと同じ作者によるジャーマンモデル(2004年製)とあり、オリヴィエ・フォルタンに対して楽器使用への謝辞も記されています。ロンドーが使ったものは2006年製とある点で一致しないものの、フォルタンが同一作者の楽器を2台も持っているということでなければ、全く同じ楽器を指している可能性が高いでしょう。

ただし、アンタイの録音はマイクが楽器から遠くにセットされている感じであるにもかかわらず、音響的にはロンドーのそれにも増して煌びやかで、だいぶ印象が違います。(もちろん、録音場所=オランダ・ハーレムの違いもあるので、一概に比べられるものではなさそうですが…)この煌びやかさはイベリアの明るい陽光の如くスカルラッティのソナタを引き立たせ、こちらも大いに堪能させてくれます。

というわけで、全く間然とするところのない1時間強のヴァーチャル・リサイタルでした。








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Last updated  April 10, 2022 08:51:35 PM
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