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未音亭日記

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未音亭@ Re[1]:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) tekutekuさんへ これまた情報ありがとうご…
tekuteku@ Re:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) ジョゼフ・ペインのライナーノーツに関し…
tekuteku@ Re:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) ジョゼフ・ペインのライナーノーツに関し…
未音亭@ Re[1]:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) Todorokiさんへ コメントありがとうござい…

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May 15, 2022
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カテゴリ:音楽
先週の朝古楽のお題は「17世紀フランスのクラヴサン音楽」。ハープシコード音楽の中でも最も重要なレパートリーの一角ですが、このところご無沙汰していた亭主にとっては久々にこの時代の音楽をまとめて聴く機会になりました。

ところで、その最終日にオンエアされたのが、クリストフ・ルセの演奏による表題の手稿譜に含まれる作品。この手稿譜、何と2004年にオークション・サイト「eBay」で出品されていたのをルセ自身が見つけて落札したとか。17世紀のオリジナル手稿譜といえば音楽史的にも大変貴重な資料と思われ、いったいどういう作品が収まっているのか大いに興味が湧きます。しかも、それをルセの演奏で聴けるとあればどうしてもCDを手に取りたくなり、亭主も2月末にHMVで注文したものの、例によってあっさり「品切れ」アウトで諦めていました。

ところが放送の後、改めてグーグってみると、何とアマゾンで「在庫あり(残り1枚)」の表示を発見!(見た瞬間ポチっていました)。この週末は無事到着した2枚組の音盤をじっくり拝聴することに。




関根先生の解説にもあった通り、収録曲のかなりの部分はリュリ作品のチェンバロ用編曲(約80曲のうち34曲)で、ルイ14世時代における彼の人気の高さが垣間見えます。中でもルセを喜ばせたのが、7曲も含まれていた未見のプレリュード・ノンムジュレ。これらには亭主も大いに興奮しました。これ以外にも、今まで知られていない作品がいくつも含まれているようで、シャンボニエールやダングルベールとの比較も含め、興味が尽きないところです。また、ルセは収録にあたり、手稿譜の収録順にではなく、調性ごとに組曲のように仕立てて演奏しており[ただし、タイトルにはあえて「組曲(Suites) 〇〇調」とは言わず、「作品集(Pieces) 〇〇調」と付けています]、まるで一連のリサイタルといった雰囲気です。(この点、ルセが若い頃に出したダングルベールの全作品録音と好対照。あれを聴くのはかなりの難儀でした。)

ちなみに、この録音で使われた楽器は、ルイ14世統治下の1704年、ニコラ・デュモン製のオリジナルで、長期にわたっていたデヴィッド・レイによる修復がちょうど終わったタイミングだったとのこと。サウンド的にもすばらしい出来栄えで、大いに耳の保養になりました。

以下、ルセ自身がライナーノートに記した手稿にまつわる顛末を、亭主訳にてご紹介しておきます。
2004年、18世紀に編集されたクラヴサンのための楽譜と書かれた一冊の本が、Ebayに登場した。出品者による写真を一目見ただけで、それが18世紀ではなく17世紀の写本であることがわかり、さらに興味をそそられた。なぜ、こんなユニークな本を手に入れることができたのか、今でもよく分からない。古書を専門に扱う書店から手に入れることができたのだが、彼らのミスには驚くばかりだ。

このような本を手にすると、人はすぐにそれを拾い読み始める。この本の最初の楽しみは、クラヴサンのレパートリーとしてはかなり珍しい、プレリュード・ノンムジュレ(小節線のない前奏曲)が収録されていることだ。未発表の前奏曲が7曲もあるなんて、なんという幸運だろう。そして、他の曲にも目を通したところ、シャンボニエールの「イリス」、ルベーグのガヴォット、ルイ・クープランの変奏が付いたアーデルのガヴォット(変奏曲)など、17世紀に出版されたクラヴサンのためのさまざまな写本によく見かける有名な曲があり、それらはすぐにそうとわかった。

この本にはリュリの音楽の鍵盤用編曲も多数収録されている(全80曲中34曲)。クラヴサン奏者にとってはダングルベールの編曲はお馴染みで、ルイ14世時代のこれらの重要な作品については、多くの手稿が別バージョンで提供されているが、ここに見られる編曲はこのジャンルでまさにお手本となるようなものだ。というわけで、私は『アルミード』のパッサカリアと「スルディーヌ」、『アティス』の「夢」、『フェートン』、『町人貴族』、『アシスとガラテ』のシャコンヌ、サラバンド「冥界の神」など、有名どころは一通り把握することができた。

私はル・タラン・リリークを通じてリュリのオペラに頻繁に、そして体系的に接しているため、他の多くの編曲も容易に確認することができ、それらは時に鍵盤による翻案のユニークな例であった。これらの編曲の背後にいるクラヴサン奏者の、とても個人的な「作法」に感動した。それらはあるときは非常に精巧で、またあるときは2声のための簡素な、どちらかといえば図式化されたものだ。そして、左手のパートにはちょっとした癖があり、右手にはダングルベールの例に倣って、クラヴサンでオーケストラの効果を再現するために、音を豊かにするための装飾がふんだんに施されていた。特にダングルベールの記念碑的作品である「スペインのフォリア」は、筆写した当人がさらに未発表の変奏曲を加えて(!)楽しんでいたというから驚きだ。 最後に、前述の前奏曲のほかにも未発表の曲も何曲かあり、幸せな購入者である私はそれらを見つけて唸り声をあげた。

さて、私はセオボン夫人とは何者なのかを調べることから始め、次のような言及があるのを見つけた。「リディ・ド・テオボンは1670年以前にマリア・テレジア王妃の侍女の一人であった。ルイ14世は、テオボン嬢とは『町人貴族』初演の少し前、1670年ごろからシャンボール城で関係を持ち始め、それは1872年まで続いた。『 国王は時折テオボン嬢とお楽しみであった』と言われている。 テオボン嬢はモンテスパン夫人の意向で1673年に王妃の侍女団から外され、その後オルレアン公爵夫人であるパラティーヌ公妃の侍女となり、1681年までその職を務めた。パラティーヌ公妃はテオボン夫人と親しく、宮廷で唯一の真の友人であったかもしれない。 公爵夫人は、王がリディ、マリー=エリザベス・ド・ルドル、アンジェリーク・ド・フォンタンジュのような美女を求めて自分のところにやってくることをむしろ好意的に受け止めていた。というのも、そのおかげで王家の義兄(=ルイ14世)に頻繁に会うことができ、モンテスパン侯爵夫人を困らせることができたからである。 リディは、王とその弟であるオルレアン公フィリップの機嫌を損ねたため、宮廷から追い出されることになった。その後、彼女はブーブロン伯爵と結婚し、パラティーヌ公妃の親友として生涯を過ごすことになる。1708年、マルリー城で死去した。 サン=シモンは『回想録』の中で彼女について長い段落を割いており、パラティーヌ公妃は手紙の中で彼女について述べているが、彼女が音楽全般、特にクラヴサンに対して興味を持ったという記述は見当たらない。宮廷にいた以上、最高のクラヴサン教師がいたはずであり、本書はその学習書であると同時に、教師が自らコピーして蔵書していた最高の曲集であったかも知れない。本書を開くと、クラヴサンの譜面台で使用された形跡がないことに驚かされる。 コピーミスも含めて、すべてが新鮮に保たれている。しかし、この曲集がパリかその近郊で作られたことは、ほぼ間違いないだろう。2人の写譜師がこれに貢献した。 より熟練した写譜師が巻の大部分を完成させており、この本に含まれる目録には彼が写した曲目が記載されている。慎重さに欠ける二番目の写譜師が書き写したものは、空いたページ、あるいはあるページの下の空行を埋めるために後から追加されたと思われ、同様に興味深い新しい作品が追加されている。ここで使われている紙は長方形で、各ページに8段の五線が引かれており、音楽出版者のバラードが販売していたものである。190ページで80曲のクラヴサン曲を含み、17世紀最後の四半世紀のクラヴサン分野における音楽的実践の美しい例である。 (最も正確に年代を特定できる曲は、リュリの1686年の「エイシスとガラテア」で、この写本は17世紀最後の14年のいつか、リディ・テオボンの亡くなった1708年以前に作成された。)

17世紀フランスのクラヴサン音楽の第一人者であるBruce Gustafon氏は、このような写本について、彼の記念碑的著作である原典についての最近の論文[1977]の付録で論じている。 この数十年の間に、公共図書館や私立図書館で思いがけず発見された多くの写本は、既にある多くのコレクション(そのうちの最も重要なものはファクシミリで出版されている)をつなぐ貴重な新しいリンクである、と彼は説明する。 テオボン夫人の本がネットに掲載されたとき、彼はそれに注目したが、実際に見ることができなかったので、不完全でやや推測的な説明しかできない。より科学的な知識を持つ読者のために、体系的な記述を以下の付録に加えた。

この録音のタイミングも実に僥倖だった。というのも、2006年から2016年にかけてデイヴィッド・レイが見事に修復したニコラ・デュモン1704年製のクラヴサンがちょうど届いたところだったからである。この曲のうち、明確に2鍵盤の楽器を必要としたのは1曲だけで、それは鍵盤の移動(エコー効果)を指示している。 この楽器の音は力強く、それでいて渋く、リュリのオーケストラ作品であれ、クラヴサンのためのオリジナル曲であれ、これらのレパートリーには間違いなく適任である。17世紀末にフランソワ・クープランが発表する新しいスタイルは、この手稿譜のどの曲にも登場しない。むしろこの本は、王のクラヴサン奏者でありリュリの弟子であるダングルベールのスタイルを証するものである。

このアルバムでは、ダングレベールのように調性ごとに編成し、小さなエピソードを作ることにした。 手稿譜に書かれている曲順には従っていないので、それについては下記を参照されたい。(次ページ以降に手稿の曲目リストあり)
なお、YouTube上に、くだんの手稿を見せながらルセ自身が語っているAPARTEのプロモーションビデオが落ちていましたのので、ついでにリンクしておきます。







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Last updated  May 16, 2022 07:54:43 AM
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