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カテゴリ:音楽
新年度から「古楽の楽しみ」の放送が早朝5時からとなり、FMラジオの朝古楽放送を目ざまし時計がわりに使えなくなって困っていた亭主。他に名案もなく、ラジオの横に鎮座しているPC(iMac)にiTunes Alarmというソフトを入れて使い始めたことを以前ご紹介しました。
さてこのソフト、毎日前夜にアラームをオンにしなければならないことに加え、再生する音楽を自動でシャッフルできないという難点があります。できることは、再生する曲あるいはプレイリストを1つ指定するだけで、前者を指定しておくとその曲を1回再生しておしまい。後者では毎回リストにある曲を先頭から順番に最後まで再生していきます。つまり、更新しなければ毎朝同じ曲が(同じ順番で)流れてくる、というわけです。これは何としても避けたいのが正直なところ。 というのも、亭主は小学生の頃、身体を鍛えるべしという親の意向に従い、週末になると学校の体育館で行われていたとあるスポーツの早朝練習に通わされていたのですが、早起きのために使っていた目ざまし時計は、セットした時刻にオルゴールによるシューマンの「トロイメライ」の旋律(初めの4小節と最後の4小節を合わせたようなもの)が鳴り出す仕掛けになっていました。 当時も今も、目ざまし時計といえば起床音はうるさいベルの音が主流で、ベルが鳴ると思わず布団をかぶりたくなります。オルゴールはそれに比べれば確かにまだマシですが、毎週朝5時半ごろに叩き起こされた挙句、冬場には暖房も効かない間に身支度をし、道具を抱えて寒く真っ暗な道を体育館に向かって歩いた辛い記憶は、亭主の脳内で「トロイメライ」の音楽と分かち難く結びついてしまい、たとえピアノの演奏であっても今なおあまり聴きたくない曲になってしまいました。(それにしてもまぁ、トロイメライ=夢とは何とも皮肉な目ざまし音楽です。) なので、毎朝同じ音楽を目ざましにかけて、その音楽がキライになってしまわないよう、このところ亭主は毎晩セットする曲を取っ替え引っ替えと変えています。この作業、初めは面倒なだけだったのですが、続けていくうちに多少面白みが湧いてきました。その理由をつらつら考えるに、「朝の音楽」選びは、映画やテレビ番組でのシーンを彩る音楽、つまり「場を作る音楽」を選んでいる音楽担当のプロデューサーの仕事に似ており、亭主もそのような仕事に面白みを感じるからだと思われます。 思い返せば、iTunesなどの音楽ソフトの浸透によって大量の音楽データを手にしたことで、我々の音楽の聴き方も大きく変化しました。特に、楽曲をランダムに選んで再生することができるシャッフル機能は、音楽の存在理由を「聴取」の対象から「背景」や「環境」に変えてしまった感があります。目ざましの音楽選びは、目ざめの瞬間に耳にしたい音楽はどんな音楽なのか、という自分への問いかけでもあり、ある意味で自分にとって音楽とは何かを改めて考えさせられる機会でもあります。 さて、硬い話はこのぐらいにして、実際にどういう選曲になったか、一部を以下にご紹介。まず思いついたのはヘンデルのコンチェルト・グロッソ(作品6)。第1番をはじめ、長調の曲はどれも清々しい感じで元気が出ます(そういえば朝古楽のテーマ音楽もヘンデルでした)。ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲や、バッハのブランデンブルク協奏曲もなかなかのもの。安直なところでは、フランソワ・クープランのずばり「目ざまし時計(Le reveil-matin)」、クラヴサン曲集第1巻第4組曲の4番目の曲で、何気なく始まった3拍子の音楽の途中から、オクターブのトリルがベルの音をユーモラスに模すところがクスッとさせてくれます。もっと喧しいハープシコード音楽といえば、ソレールのソナタがちょうどよい感じ、ルビオ番号の初めの方にある長調のソナタが鳴り始めると、たちまち目が覚めました。 ちなみに亭主は、iTunesに「目ざまし」というプレイリストを作り、そこに毎度十数分の曲をコピーしてアラーム時に順に再生されるようにしています。さて、明日の朝はどんな音楽で目を覚すか… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 22, 2022 09:26:12 PM
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