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未音亭日記

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未音亭@ Re[1]:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) tekutekuさんへ これまた情報ありがとうご…
tekuteku@ Re:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) ジョゼフ・ペインのライナーノーツに関し…
tekuteku@ Re:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) ジョゼフ・ペインのライナーノーツに関し…
未音亭@ Re[1]:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) Todorokiさんへ コメントありがとうござい…

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May 14, 2023
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カテゴリ:旅行
栃木県足利市といえば、日本史の教科書に出てくる「足利学校」ぐらいしか思いつかない亭主。人出が比較的少なめであることを期待して、連休のなか日、5月2日に日帰りの足利小旅行を楽しみました。(少し時間が経ってしまいましたが、大変印象に残ったのでメモっておくことに。)

当日降り立ったのは東武伊勢崎線「足利市駅」。昨年までハマっていた群馬の温泉巡りでは途中駅として名前は馴染みがありましたが、今回初めて下車し、そこから家族の運転で車での移動。好天にも恵まれ、爽快なドライブです。

プランを練った家族によると、目的地の一つであるココ・ファーム・ワイナリーは日本ワインの草分け的存在とのこと。(日本のワイン業界で知らない人はいないとのことで、後で調べたところ、玉村豊男・鹿取みゆき著「厳選日本ワイン&ワイナリーガイド」にも結構詳しく紹介されていました。)駅から北に向かって車で20分ちょっと走ると山道になり、途中から何人も立っていた誘導員の指示に従いながらさらに進むと、右手に突然山側に大きな急斜面が出現。そのふもとにあるのがショップやレストランを兼ね備えたワイナリーでした。



老舗のワイナリーらしく、ショップでは訪問客向けにワイナリーの歴史や醸造・販売されているワインの情報が満載のパンフレットが何種類も用意されています。事前に何も調べずに来た亭主は、それらと首っ引きで棚に並んでいるワインボトルと睨めっこ。もちろん有料でテイスティングもできますが、ちょうどお昼時が近かったこともあり、まずはレストランで腹ごしらえ。

それにしても何より驚いたことは、目前にある見上げるような急斜面がまさにワインヤードになっているという事実。何と平均斜度38度(!)とのことで、多分上からの眺は文字通り断崖絶壁だろうと容易に想像がつきます。レストランでもこの絶景を眺めながら食事を楽しむことができました。



昼食後、いよいよワイナリーでテイスティング。赤を中心に5-6種類を試しましたが、どれも素晴らしい味です。ソムリエのようにいろいろな比喩で味を表現できないのが残念ですが、どのワインもブルゴーニュ的なフレッシュさと軽さが印象的(最後に3本ほど気に入ったものを購入)。日本ワインがワールドクラスになったことを改めて痛感しました。

ココ・ファーム・ワイナリーの創立は1980年ですが、その母体になったのは「こころみ学園」という知的障碍者のための私立の支援施設です。学園の設立者である川田昇さん(1920-2010)は、もともと中学校で特殊学級の担任をしていたそうで、知的障害を持った生徒たちが自然のなかで体を動かすことで、彼らの情緒が安定し心身の健康にも役立つ、という信念の下、1958年から私財を投じて山の急斜面に土地を購入し、雑木林を開墾してブドウ畑を作ったとのこと。ここを原点に、足掛け65年という長い歴史を刻んできたわけです。

当初は生食用のブドウを生産していたようですが、やはりそれだけでは採算が取れず、より高付加価値のワインを作り始めたのが1980年代。とはいえ、当時の日本における国産ワインに対する認識を考えれば、その歩みは想像するだに困難だったででしょう。それを支えたのが「障碍を売り物にしない、お涙頂戴で買ってもらっても一度だけ、本当にいいものをつくる」という設立者のぶれない信念。理想主義は実現可能であることを示す感動的な例だと思われました。

さて、ワイナリーを後にして向かったのが栗田美術館。こちらは栗田英男さんという方が蒐集した江戸時代の伊万里焼・鍋島焼を収蔵・展示している陶磁器美術館で、場所は両毛線に沿って佐野方面に少し行ったところにありました。その昔(1986年)、ロックバンド「クィーン」のフレディ・マーキュリーがお忍びで来日した際にここを来訪し、大いに感銘を受けたというエピソードでも知られているようです。当日の来客はワイナリーよりはグッと少なく、亭主が好みの染付や柿右衛門様式の絵皿などをじっくりと眺めながら目の保養をすることに。展示は広大な敷地に点在する複数の建物に分かれており、時にかなりの高低差もある移動を伴うこともあって、運動不足の解消にもなりました。




最後の展示室を見終わって、出口付近にあるショップ(こちらも大きな別館)をぶらぶらしていたところ、遠目にどうも見覚えがある1メートルほどの木彫の人物像が店の真中あたりの目立つところに飾ってあります。近づいてみたところ、「エラスムス像の復元」とありびっくり仰天。解説パネルには、元の木像が1600年に日本(大分)に漂着したオランダ船「リーフデ号」の船尾に飾られていたものとあり、瞬時に学生時代に読んだ(眺めた?)本の口絵写真が蘇りました。



リーフデ号といえば、乗船していたウィリアム・アダムスが、後に「三浦按針」と名乗って徳川家康に仕えるようになったことでも知られています。

この木像は、同美術館からほど近い佐野市にある龍江院というお寺が所蔵しているとのことで、龍江院ではこの像を船を発明したという古代中国の伝説を持つ貨狄(かてき)の像(別名「貨狄尊者」)として祀っていたそうです。ただし、現在は国立博物館に寄託されており、損傷が激しいので公開されていないとのこと。

亭主は自宅に戻ったところで早速書棚に直行、最上段に死蔵(?)されていた中公バックス版「エラスムス/トマ・スモア」(渡辺一夫責任編集)を取り出し、口絵をマジマジと眺めることに。
何とも懐かしい「再会」を果たしたわけですが、それにしてもこれぞ「犬も歩けば棒に当たる」の奇遇でした。(これを機に「痴愚神礼讃」でも読み返してみるか…)







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Last updated  May 14, 2023 09:57:19 PM
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