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カテゴリ:live talks
One Night Only

スウェーデンの若手メロディアスハードロックバンド、H.E.A.Tの1日限りの日本公演に行ってきた。このブログを頻繁に覗いてくれている30人(うち、自分が20回程度)の方ならご存じの通り、昨年のAlbum Of The Yearに選んだバンドでして、北欧ならではの哀愁と、洗練された音を見事に消化させた珠玉のメロディが満載のハードロックバンドでして、ここまでレヴェルが高いと、メロハーが主食ではないボクもさすがに注目せざるを得ない、という感じ。
会場は通常の来日公演が行われるShibuya O-Eastより更にキャパが小さいO-West。600人らしい。以前SHOW-YA(をヘッドラインにHEADPHONES PRESIDENTとかシシドカフカとかが出たイヴェント)をここで観たが、かなり小さい。どこまで比較になるかは分からないが、先日のHAREM SCAREMがクアトロでほぼ満員にしていたことを考えると、まあキャリアの差とか認知度の差があるとは思うが、ちょっと寂しい。ただ、そんなことを書きつつも、まあ満員にはならないだろうと思い、開演20分ほど前に会場に入ったら、かなり入っていた。これは喜ぶべきことだろう。ということで、今回は結構予習もバッチリだったので荷物も預けて前方に突入したかったが、荷物を持ったまま後ろから観戦せざるを得なくなった。

半年ほど前にロンドンでのライヴ盤が出ており、そのライヴでのオープニングと同様、SEからPoint of No Returnでライヴがスタート。まず注目していたのは清涼感のあるあのヴォーカルが再現出来るかどうかだった。
で、結論。悪くはない、が。って感じだろうか。基本的にはフェイクもなく出ているのだが、如何せん28歳と若いのでとにかくはっちゃけ度合いが前面に出すぎてしまって歌がおざなりになるきらいがあるというか。なんかシャドーボクシングのアクションを随所に入れるし、ヘドバンもガンガンするしで、まあホントー若さ爆発!って表現がピッタリのステージングだった。凄く気になるレヴェルではなかったのでいいのだけれども、もうちょい歌に集中してもいいかもしれないとは思ったね。あとは先週のドラフォのMarcと比べてしまうとってのもあったかも知れない。
バンドの方は、これはサウンドの問題なのか、前半は特に全体的にスカスカな印象。キーボードもいる5人編成なので、そこまで抜けた感じの音になることもないとは思うのだが、それが若干気になった。あと、コーラスに関してももう少し改善の余地があると思った。哀愁のメロディをもつバンドにおいてはコーラスワークが、楽曲の再現性において重要な位置を占めるのは言うまでもない。

いきなり苦言をいくつか書いてしまったが、それを打ち消してあまりあるキラキラな楽曲群は、この日もいささかの輝きも失うことなく次から次へと披露された。年齢層は高めながらも大好きなファンが集結したであろう会場もそれに呼応して大盛り上がりだ。小さな会場だとやはり全体の一体感を感じることが出来るのが凄くいい。
中盤でのハイライトはタイトルトラックのTearing Down The Wallsだったように思う。全員で合唱出来るパートをもつこのバラードは歌詞の内容も相まって、また一気に会場の一体感を強めた。
更に中盤でのお楽しみは1stアルバムからのBeg Beg Beg。ポップなさびをもつスピードチューンだ。ここでは途中にHighway Starを挟んだり、スウェーデンの伝統的なDrinking songを挟んだり、”遊び”もしっかりできる実力があることを証明した。
ちなみにメンバーの容姿はというと、言わずもがなのイケメンのvo.は置いておいて、ちょっとコロコロ体型のba.以外は皆長髪だが、一番キャラがたっていたのはロックンローラー然としていたdr.だった。これはHAREM SCAREMと一緒だな。途中で彼が日本語で「もっと声出せ」と言ったのだが、今までの外タレライヴで聞いてきたどの日本語よりも自然な発音だったのにはビビった。スウェーデン語の発音ってのは想像も出来ないんだが、日本語と似てる部分があんのかな。

後半も引き続きメロディ満載の楽曲が立て続けに惜しげもなく披露されていく中で、今回の来日に関して感謝を述べる場面があった。その相手が彼らのレーベルであるMarqueeの社長とおそらくプロモーターなのか不明だったが1人の女性。2階に座っており手を振っていたが、この2人の尽力により今回の来日が実現したらしい。とにかく呼ぶべきだと進言したらしい。このシーンを見ていて、ジャンルは全く違うが、先日解散したGLAMOUR OF THE KILLの解散理由が金銭的にやっていけないというものだったというのを思い出した。正直このクラス、ジャンルのバンドになると金銭的にもきついのだとは思うし、だからこそ今回のような力強い支援者がいて、1回限りの公演でも実現したときには足を運ばなければならないというのはファンの役割でもある。当然ファンとしてもこのバンドだけを追っかけているわけではないので、そこには取捨選択が出てきてしまうのは仕方がない。ライヴに行くことがめっきり少なくなった最近は個人的にこのジレンマにまいかい悩まされている気がする。ただそれにはまず、よい楽曲で、ライヴ自体も素晴らしいと感じられることが前提だ。

この日のライヴが今回のツアーの最後、ということでアンコールも2回あり、最後は担当楽器を変えて(ヴォーカルのみそのまま)のChuck BerryのJohnny B Goodeを披露して、約2時間のステージを締めくくった。
良いライヴだった。会場の一体感。彼らをサポートする人々。そしてそれに全力で応えようとするバンド。ライヴの様々な要素が良い形で融合していたと思う。当然ながらまだまだビッグになって欲しいバンドだし、その時間も充分にあると思う。今後もずっと注目していきたいバンドである。

H.E.A.T are: vo. Erik Grönwall, g. Eric Rivers, ba. Jimmy Jay, key. Jona Tee, dr. Crash

§ぽっぷびぃと§





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Last updated  2015.10.03 12:15:43
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