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カテゴリ:音楽・詩
素晴らしいライブを聴いた後は、カラダ全体が満たされている。カラダの内側には音がつまっていて、カラダの外側には音符がたくさんくっついているような気がする。心の中で、さっき聞いた曲を何度も何度も繰り返し、その曲が作り上げる世界にどっぷりと浸りながら異空間に乗って帰宅する。自宅のドアを開けるまで、人ごみの中に居ながらも独りを楽しむ。ドアを開け鍵をかけ、やっと開放感を感じる。大切に持ち帰ってきた音符を振り落としても惜しくない場所に着いた、そんな気がする。 ここ2年ほど、落ち着きの無い生活を送っている。落ち着きが無いのは私の心の問題で、表面上は「相変わらず」なのである。ゴールがあるが、ゴールが見えてこない。ゴールを急かされているようだが、その前にボールがはっきり見えてこない。そんな「漠然とした」日々を2年近く続けている。精神衛生上、非常に良くない。 そんな中で、助けになるのは音楽だ。さっきから続けて聴いているのは「Michel Michel」。旋律が美しい、切ないバラードだ。盛り上がりの部分での、ボーカルの訴えるような歌声に胸がぎゅっとつかまれるようで、寂しくなる。そして聴いた後は、独りで夜空を見上げてしっかりと大地に立つ女性の姿が見てくる気がする。 この曲を作り上げたピアニストの井上ゆかり氏は、「羊の皮を被った狼」とHMVのレビューに称された、まさに柔らかく力強いピアニストである。そして、ジャズというジャンルを愛しつつもそれにこだわらず、ジャンルを超えての演奏を楽しんでいる。4歳からピアノをはじめ、今ではNHK-BS「素晴らしき音楽仲間」にレギュラーピアニストとして出演している。なんと、KONISHIKIとのコラボレーションでハワイアンを演奏した経験もあるそうだ。優しい外見からは想像できないような力強い音を響かせたかと思うと、ピアニカで泣かせる日本の名曲を聞かせてくれたりする。振幅が大きいのも彼女の大きな魅力のひとつだと思う。カラダ中を音楽で満たしてくれる、数少ない大好きなアーティストの一人である。 現在「井上ゆかりトリオ」そして「トリニティ」のふたつのトリオで多くのライブを行なっている井上ゆかりさん。はっきり言って、ピアノを弾いている姿を眺めるだけでもうっとりするくらい綺麗なピアニストなのに、そこに音がかぶさるんだから贅沢な話である。 井上ゆかりというピアニストに興味を持ったなら、もしくは切ない気分に浸りたいと思ったら、井上ゆかり公式サイトのCD INFOをクリックして欲しい。アルバム「Pianin / Yukari Inoue」の第一曲目にボーカルバーションが、第十曲目にはオリジナルバージョンが入っていて、試聴できるようになっている。曲の解説も読むことができる。是非、是非、聴いて欲しい。人気急上昇中のピアニストで、ライブの席もあっという間に無くなってしまうくらいなので、ブログに書くのがちょっと惜しい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.04.09 23:42:53
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