冬の青空と詩2編
本棚を見渡して気付いたことがあります。この2年間、詩集を1冊も買っていませんでした。心に余裕が無くなってきた証のような気がします。小説はするすると読めるので、読み流してすぐにブックオフに売ってしまいます。コミックはほとんど読まず、気に入ったものだけ、本棚に並んでいます。それ以外は「売る本」と共に、本棚の上に乗せられています。専門書の類は少しずつ増えました。頭の中の情報は相変わらず増えていません。詩は、ゆっくりと、呼吸をしながら読むのが好きです。文字を吸い込み、そこから得た感情を吐く息に乗せて味わう。詩を読むときの、リズムです。久しぶりにヘッセの詩集を手に取りました。詩人を目差し、詩人になりたいと願い、困難な道を歩き続けたヘッセ。探求の人でした。「独り」 ヘッセ地上には大小の道がたくさん通じている。しかし、みな目ざすところは同じだ。馬で行くことも、車で行くこともふたりで行くことも、三人で行くこともできる。だが、最後の一歩は自分ひとりで歩かねばならない。だから、どんなつらいことでもひとりでするということにまさる知恵もなければ、能力もない。 もう一人、好きな詩人が居ます。ビートジェネレーションの詩人・作家のリチャード・ブローティガン。状況を語ることで自分の心理を語る。そんな詩人です。A Lyrical Want, an Endocrine Gland Fancy Richard BrautiganA Lyrical want, an endocrine gland fancy,a telescope that I thought had no thornshave lead me to a pain that I cannot pronounce.It gathers around me like a convention of translatorsfor a Language that does not exist with all those meetings to attend.なんでもないけどなにかある 高橋源一郎訳なにかが足りないそんな気がするとても哀しいなんだかぼんやり考えているぼくじゃないぼくの身体がぼくは覗きこむわからないどこかが痛いまるで翻訳者たちの会議にまぎれこんだみたいなんだみんな熱中している存在しない国語についてのおしゃべりに **************************リリカルが求め、ホルモンがもたらす幻想 訳者知らず情緒詩は求める、ホルモンがもたらす幻想害が無いはずだった望遠鏡なのに外国語みたいな痛みを僕にもたらす発音すらできないような痛みをその痛みってヤツは、僕の痛みの通訳者会合のごとく僕の周りに集まってきてそれって、共通言語が無い、でも出席しなくちゃならない 会議みたいなものだ ヘッセもブローティガンも以前にブログで紹介したことがあると思いますが、時々本棚から取り出して読み返すと、以前は気にならなかった詩に目が留まります。今日はマンションの排水溝の洗浄や防災感知器の点検、電気機器の点検やヒーターの取り付け工事などで夕方まで仕事はお休み。これを書いたら、明日のカルチャー講座の資料を作ります。晴れた冬空は本当に美しく、こうしているせいか、休日の空気が流れているような気がします。