せっかくのホテルの朝食なので、サラミやチーズをはじめ、
カップッチーノやクロワッサンまできちんと取りました。朝イチでドゥオーモ広場まで行きます。
ジョットの鐘楼に上るんです。
通称から、ジョットによって手がけられたことはお分かりでしょうが、
実は彼は完成を見ずに亡くなってしまっており、
建築はアンドレア・ピサーノによって引き継がれ、
フランチェスコ・タレンティ、ルーカ・デッラ・ロッビアなどの手によって
約25年後に完成したものだそうです。
階段を上るのはおばさんには辛いです。
ただ、塔は何層かに分かれているので、そのたびに小休憩ができ、
しかも雨が降り始めていておそらく20度ないくらい涼しかったので、
思ったよりも楽でした。
わたしはエレベータ無しの5階
(日本で言う6階、しかも天井の高いイタリア)の
アパートに住んでいます。
友人F氏が言うには、
わたしはこのせいで階段に慣れているのだそうです。
でもさすがにジョットの鐘楼のように85mも高くはありません。
ここの上から見るフィレンツェの街はとっても綺麗です。
フィレンツェはローマと違って茶色く見えます。
ぬくもりのある茶色です。
同じイタリアでもこんなに街の風景が違うなんて、とても不思議です。
間近に見えるドウォーモの姿も美しいです。
そのあとはミケランジェロのダヴィデ像で有名な
アカデミア美術館のちょっと先にある、
サン・マルコ修道院美術館に行きました。
サン・マルコ教会脇の付属修道院が美術館になっています。
ベアート・アンジェリコのフレスコ画『受胎告知』。
修道院の僧坊の壁を飾る絵だったというのですから
何という贅沢なことでしょう。
天使のカラフルな羽と、
天使と同様に聖母マリアが交差して胸に置いた手とが心に残ります。
この時代の宗教画には大して興味もないわたしですが、
これはあまりに綺麗なので絵葉書を買ってしまいました。
『我に触るな』というキリストとマグダラのマリアの絵も
見落とさないで下さい。
わたしは見落とすところでした。
漫画『チェーザレ』にも出てくるサヴォナローラも
ここで生活していたそうですし、
コジモ・ディ・メディチの礼拝堂も見られます。
食堂に掲げられた
ドメニコ・ギルランダイオの『最後の晩餐』も必見です。
ヨハネは寝ているので何でだろう、お行儀悪いなあ、と思うのですが、
寝ているのではなくて、ユダの裏切りにショックを受けて
キリストに寄りかかっているのだそうです。
雨が強く降っています。
アルノ川を渡って向こう側の、
おいしいという評判のトラットリア(値段設定低めで庶民向きのレストラン)、
アッラ・ヴェッキア・ベットラにお昼を食べに向かいます。
観光客にも有名ながら、
地元の人も多く集まるお店のようです。
このお店の名前を冠したパスタと
フィレンツェ風ビーフステーキを頼みました。
パスタはトマトとクリーム、唐辛子のソースなのですが、
どんな配分でこの味が出るのか聞いてみたいほどおいしいのです。
ちょっとでも配合が違うと、ここまでおいしくならないと思うので、
そのデリケートな味のバランスに感激しました。
フィレンツェと言えば、ビーフステーキです。
わたしはおいしい牛は大好きなので、もちろん食べました。
3人で頼んだのはパスタ1人前、
ビーフステーキ2人前(1kg)、サラダ1人前です。
それからこの近くにあるサンタ・マリア・デル・カルミネ教会へ行きます。
ここで見るのはブランカッチ礼拝堂に描かれているマザッチョの壁画です。
左端の『楽園追放』は教科書か何かで見たことがあります。
アダムとイヴが追放されて歩いているのですが、
イヴのこの上なく悲しそうな表情が怖いです。
マザッチョは若くしてペスト(黒死病)で亡くなりました。
このシリーズ画はマゾリーノ・ダ・パニカーレとの共作であり、
最終的にフィリッピーノ・リッピが完成させたのだそうです。
このあと寄ったジェラート屋さん。
真夏とは思えないほど涼しかったので、
ジェラートを食べようかどうか迷いましたが、結局入ってしまいました。
コーン、カップとも1ユーロからあり、
2つのフレーバーを載せてもらえます。
ホテルのある広場はサンタ・マリア・ノヴェッラ広場と言います。
これはこの名前の教会がここにあるからなのです。
フィレンツェ中央駅の名前もコレ。
ドゥオーモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)と同じくらい
フィレンツェにとって重要なのでしょうね。
緑と白の大理石のコントラストが目を引きます。
中は外から見る印象と異なり、荘厳なゴシック建築。
尖っています。
ロマネスク建築とゴシック建築の混在型なのだそうです。
夜はカジュアルなかわいらしいお店に食べに行きました。
わたしは牛フィレのグリーン・ペッパー・ソースがけとサラダ。
ソースは生クリームが強すぎてちょっと残念でしたが、
肉は柔らかくておいしかったです。
わたしはクリームよりも醤油とか塩のしょっぱい味が好きなのです。
同意見の方には牛フィレのグリーン・ペッパー・ソースなら
ローマのジャニコロのスカルポーネをおすすめします。
これよりおいしい牛フィレにはお目にかかったことはありません。
肉の旨みもさることながら
シンプルでもコクのある味付けに加え、
グリーン・ペッパーのパンチがたまらないのです。
帰りにGROMに寄ります。
わたしはすっかりGROMの虜。
ビター・チョコレートのアイスクリームをダラダラ垂らしながら食べて、
子供たちに笑われています。