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カテゴリ:音楽
主人は出張です。寂しい、と思うのは別れる瞬間で、
一旦一人になるとやることがたくさんあって、で、合間に 普段から聴きたかった音楽を聴く。 主人は家の中でもよく仕事をするので、音量を上げて音楽が 聴けない。夜、二人で彼が選んだ映画を観たりすることは あるけれども。 「ゴッドファーザー」は暴力的シーンがあるから見たくない といい続けてきた私に、ジャッキー・チェンやジェット・リー の武術映画ややたらシュールなイギリス映画を選び続けてきた 彼はある日、映画の選択に困り、こういうのどう?と聞いてきた ニコラス・ケイジの「武器商人」に私がちょっぴり難を示すと、 「これ、そんなに暴力的じゃないんだよ。今まで、君に 合わせて映画を選択してきたんだ。たまには僕の見たい映画 でもいいじゃないか。」と言ってくれたので、私は ええ?!確かにジャッキー・チェンやジェット・リーの 素晴らしさを発見することはできたから結果的にはうそでは ないんだけど。妻を理解度10%か! それにしても、久しぶりに独身時代のように孤独な夜を 楽しんでいる。一人の夜を満喫するごとくYoutubeで音楽を聴く。 尾崎豊の比較的静かな歌は何度聴いても心に響いてくる。 森山直太郎もいい歌をじっくりと歌っている、 ウイキペディアで彼は「金八先生B組」のファンだと書いて あって親近感が増す。私も日本にいた時は大ファンだった。 フランスでもあのシリーズがフランス語で放映されないかな、 と思うくらい。 杏里の「オリビア」赤い鳥の「竹田の子守唄」もじっくり聴く。 日本の歌ばかり。心に響く歌い方をする人たちの。 小田正和も。他にもたくさん。 時々、雨上がりの東京の白黒の写真や日本の風景写真が 映ったりすると、音楽との相乗効果で、心に何かが よみがえってくる。それは心の中の風景となってしまった 感情のようで、普段は引き出しの中に閉じてしまっている ような気がする。夕暮れ時のせつない甘い感情のようでも ある。ただ過ぎ去るばかりの瞬間を掴むこともできずに くすぶり続けているような若い時の漠然とした焦燥感と それでもどこかでこれも漠然とした希望の予感を感じて 生きていた時代。何か自分が長いそれは長い間置き去りに してきた何か。忘れようとして忘れ去ったものではなくて、 フランス生活の毎日の暮らしの中で見えなくなっていた何か。 フランスに来る前に日本の暮らしの中で若い時から持ち続けて きたある種の何かかそれとも若い時に持ち合わせていた何かの ような気もする。 パリにいた10年間ではすっかり忘れ去っていたもの。 それは雰囲気も文化も違うから、なのだろうか。 それとも単に一日一日をベルトコンベヤーに載せられた物 を受け取るかのように生きているような乾いた大人として 生きているからだろうか。 この間、ラジオからそれは美しいソプラノが聞こえてきた。 言葉はわからない。曲も歌声も天に吸い込まれていって しまうかのようにおそろしく素晴らしい歌だった。 が、日本語で歌われたバラードで引き出されるある種の感情 は私の中では閉じたままだった。と、いうか、そのことにさえ 気づいたりしないわけだけれども。 ひとりの夜は徒然なるままに。 いきなり日本のカラオケみたいに個室で歌えるカラオケが恋しい、 と思ったり。ふと日本にもう何年も帰っていないから、何か おかしくなっているのかな、とも思う。 そう言えば、よもぎ餅が食べたい、とかコンビニはどうして フランスにはないんだろうとか、おいしい日本のラーメンが 食べたい、とかよく思う。(やっぱり食い意地ですね。) パリにはラーメン屋さんあったけれど。 きっと、こんな具合に私は逆にフランス人の主人のことを まだきっとほんとうにはわかっていないのかもしれない。 彼の青春時代にこのフランスという土地で感じて生きてきた 彼の何か原点に持っているだろう何かをもしかしたら自分は わかってはいないし、わかることもないのだろう。 主人もたまにジュリアン・クレールのようなおそらく彼が まだ子供時代に聞いただろうと思われる比較的フランスの 古い正統派のポップスを聴いていることがある。 シルヴィ・バルタンの若い時の歌も一時的よくきいていた。 ポルナレフも聴く。 が、日本にいてフランスを知らずに聞いたことのある、 そういう古いフランスのポップスは私にとって、 いつまでも遠いフランスの国の歌なのだ。 海を越えた遠い外国の歌。ただお洒落でロマンチックな ベールの向こう側に置いた歌。 小説は少し違う。フランス語で読んでも、英語で読んでも 不安や孤独や悲しみや喜びやせつなさを描いた人間の感情が 表現されたところは、同じように伝わってくる。 ちなみにフランス語でも英語でもいまだに辞書は必要に なることが多々ありまふ。 ひとりの夜は徒然なるままに。 マンチェスター出身のバンド ベガジョーBeggar Joe ベガジョーと知られる前のマンチェスターの 時の姿はこちらです。 街角で歌っていた時のベガジョーBeggar Joe 2007年 川下 笑里歌さんの心洗われる美しいハープ演奏♪ ごっちゃ箱 現代詩人 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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